研究課題/領域番号 |
24659466
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小船 雅義 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (90336389)
|
研究分担者 |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
井山 諭 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50398319)
|
キーワード | 骨髄異形成症候群 / 幹細胞 / 8-OHdG / 酸化的DNA損傷 / 白血病 / HPLC-ECD / 活性酸素 / 予後因子 |
研究概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血前駆・幹細胞の遺伝子異常や機能異常がその発症の主因と考えられているがその誘因は明らかにされていない。最近、鉄過剰がMDSからの白血病転化の予後不良因子である可能性が示唆されているが、その分子機構は不明である。一昨年、申請者らは輸血後の鉄過剰状態においては、MDS患者血球においてMDS血球内の活性酸素およびゲノム内の酸化的DNA損傷が亢進することを、蛍光染色法により明らかとした。昨年度は、血球内8-OHdGを高速液体クロマトグラフィー・電気化学検出器(HPLC-ECD法)を用いて定量を行った。MDS全症例の末梢血内8-OHdGレベルは、健常人と比較し、有意に高値であった(2.287 ± 1.540 vs. 0.871 ± 0.877 /105dG, P=0.003 )。8-OHdG量と血清フェリチン値には正の相関が認められた(r=0.495, P=0.003)。すなわち、鉄過剰が進行する程、酸化的DNA損傷が高度になる可能性が示唆された。さらに、HighリスクMDS(Int-2およびHigh)の末梢血球ゲノム内8-OHdG量はLowリスクMDS(LowおよびInt-1)と比較し有意に高値であった(3.191 ± 1.792 vs. 1.564 ± 0.821 /105dG, P=0.016 )。IPSSの各予後因子である血球減少、骨髄芽球比率および染色体異常別に8-OHdGを検討した結果、染色体異常の有無のみが8-OHdGと相関があった(正常核型 vs. 異常核型 : 1.538 ± 0.833 vs. 3.036 ± 1.756 /105dG, P=0.019 )。MDS患者末梢血単核球中の8-OHdG量は、Deferasirox投与後に、ほぼ正常値まで回復した。今後、鉄キレート療法後の8-OHdGをHPLC-ECD法で定量する。MDS患者の進展、予後、鉄過剰状態および鉄キレート療法との関係に関して解析中であるが、生存中央期間が得られておらず、今年度も継続して経過観察する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究目的に即した結果が得られているため、今年度の研究目標はほぼ達成していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、MDS患者の白血化および予後を追跡中であるが、今年度も継続して追跡する。国際予後因子(IPSS)ではMDS患者の予後は数年と予測されるため、昨年度に得られなかった鉄キレート群の生存中央期間が得られるかもしれない。鉄キレート療法はガイドラインを遵守して鉄キレート療法を行う。鉄キレート療法後の8-OHdG量の変化、血清フェリチン量、生存率および白血化率の関連について詳細な解析する予定である。
|