研究課題
ステロイド筋萎縮の治療として、骨格筋における薬理的mTOR活性化によってグルココルチコイドレセプターGR機能を抑制し、グルココルチコイドGCの骨格筋異化作用に拮抗させる、ことを思い立った。その際、mTOR活性化作用が公知の分岐鎖アミノ酸BCAAを使用し、ヒトへの投与量の至適化の検討も終了した。すなわち、独自の確固たる研究結果から既成概念を超えた新たな骨格筋量制御機構を発見し、それをもとにヒトへの応用法を具体的に提案して臨床への橋渡しを自ら企画立案した。本臨床試験では、市販中のBCAA含有飲料「アミノバリュー コンク」を用いて、リウマチ性疾患・膠原病患者を対象に、ステロイド治療に伴う筋萎縮・筋力低下に及ぼす効果について、徒手筋力テスト(MMT)による筋力評価、生体インピーダンス法を用いた体組成分析、そしてX線CTスキャン、MRIによる筋量評価を指標として、オープンラベル、ランダム化、並行群間比較、第II相臨床試験により検討した。一方で、ステロイド治療に伴う筋萎縮・筋力低下やステロイド筋症に関しては臨床における確立された評価法・診断法が存在しないため、本試験においては、その評価法・診断法の探索も行った。非投与(観察)群は三ヶ月後に「アミノバリュー コンク」の投与を三ヶ月受けるかを本人の希望により決めることができることとした。この際、投与期間のデータは本臨床試験の補助データとして取扱い、無投与期と投与期の変化を探索的に検証する、ただし、データ収集は実施計画書と同様に行い、安全性に関しても担保することとした。平成24年度から患者エントリーを開始した。
2: おおむね順調に進展している
アミノバリュー コンク投与群と非投与群との間での各群20名による並行群間比較臨床試験であり、現時点で10名の登録が終了した。重篤な有害事象の発生もなく、試験期間中に目標症例数を達成見込みであるため、おおむね順調と自己評価した。
目標症例数を達成し、以下の項目に関して評価して論文発表を行う。主要評価項目(プライマリー・エンドポイント)【筋力の評価項目】①徒手筋力テスト、【筋量の評価項目】②生体インピーダンス法による体組成、③X線CTによる筋量評価、④MRIによる筋量評価副次的評価項目(セカンダリー・エンドポイント) 【筋力の評価項目】⑤筋力に関連している自他覚症状、Performance Status、Kagenの筋力grade、しゃがみ立ち試験 【筋・代謝関連検査項目】⑥筋疾患関連検査 血液検査:クレアチンキナーゼ(CK)、アルドラーゼ、乳酸脱水素酵素(LDH); 尿検査: 尿中クレアチン/クレアチニン⑦蛋白質代謝関連指標 血清アルブミン 血漿・尿中アミノ酸。解析項目および解析方法に関して:データの収集および集計は試験担当医師が行う。中止・脱落症例においては、中止時のデータを使用する。なお、本試験では、有効性評価項目としてどの項目が適切であるか、を探索することも目的であり、統計解析時に、ID、患者イニシャルを除く患者背景の項目と、有効性評価項目の試験開始時の値について、各群間の不均衡を評価する。有効性の評価に関する群間の平均の比較にはt検定を使用し、分布の比較にはχ二乗検定を使用する。
平成24年度にエントリーした患者数が予測を下回ったため投与飲料購入費が当初の予算額を下回った。残額はやはり同購入費として次年度に繰り越した。
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