研究課題
本研究では、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の病態形成への好中球のneutrophil extracellular traps (NETs)形成とnetosisの関与、および治療応用の可能性を検討した。第1に、末梢血好中球およびmyeloperoxidase (MPO)-ANCA陽性IgGを用いたin vitroでのNETs形成能を検討した。健常人好中球をC5aでプライミング後、MPO-ANCA陽性患者IgG、健常人IgGで刺激し、NETs形成好中球の割合を測定した。C5a+MPO-ANCA陽性IgG刺激によってNETs形成が誘導されたが、健常人IgGでもNETsの誘導が認められ、定量的再現性を示すことが困難であったため、検討を中止した。第2に、ANCA関連血管炎動物モデルの作成.リコンビナントマウスMPOで家兎を免疫し、高力価の抗マウスMPO抗体を含むIgG分画を精製した。抗マウスMPO抗体とCandida albicans water-soluble fraction (CAWS)をC57BL6マウスにday 0およびday 5に投与し、day 10に肺および腎臓の組織切片を作成したが、明らかな血管炎の発症は認められなかった。CAWSの投与量を2倍にして再度実験を行ったが血管炎を誘導することはできなかった。第3に、ANCA関連血管炎患者の血清中のサイトカインを、マルチプレックスサスペンションアレイを用いて測定した。血清中のIL-1beta、IL-2、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、IL-13、TNF-alpha、MIP-1alpha、GM-CSF、VEGF濃度が上昇している症例が認められ、臨床的活動性(BVASおよびBVASの各項目)、検査データ(血清クレアチニン値、ANCA力価、血清CRP値)との関連を検討した。
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Arthritis Res Ther
巻: 16 ページ: R101
10.1186/ar4550