研究課題/領域番号 |
24659476
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
剣持 直哉 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (00133124)
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キーワード | RNA修飾 / 自己免疫疾患 / リボソーム / rRNA / 人工抗体 / ゼブラフィッシュモデル |
研究概要 |
RNA修飾と自己免疫疾患発症の関連を明らかにするために、平成25年度は、RNA抗体単離法の検討およびRNA修飾欠損ゼブラフィッシュモデルの解析を行った。 1. 抗RNA抗体の単離法の検討 前年度に単離した抗RNA抗体が十分な特異性を示さなかったため、ファージディスプレイ型人工抗体ライブラリーのスクリーニング条件を再検討した。SLE患者のエピトープであるU1snRNAのステムループII領域(51G~90C)を合成し、3’末端をビオチン標識した。これを抗原として用いライブラリーのスクリーニングを行い、24個のファージクローンを単離した。これらのクローンの特異性を今回改良したELISA法にて検討した結果、8個のクローンで特異性を確認できた。 2. RNA修飾欠損モデルの解析 ディスケリン(RNAの修飾酵素、先天性角化不全症で変異)またはU26 snoRNA(RNA修飾をガイドする低分子核小体RNA)遺伝子の発現を阻害したゼブラフィッシュを作製し、初期発生における形態形成や造血の異常を解析するとともに、欠損モデルにおけるポリソームmRNAのプロファイルの変動を次世代シーケンサーで解析した。その結果、欠損モデルにおいて翻訳効率が大きく変動(2倍または1/2)した遺伝子を、ディスケリンの発現阻害で176個、U26 snoRNAの発現阻害で252個同定した。これらのデータはRNA修飾と疾患との関連を明らかにするための重要な基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RNA修飾を認識する抗RNA抗体の同定については、得られたクローンの特異性は確認できたものの、結合力が低いため、現在再検討を進めている。修飾欠損モデルの作製・解析については、モデルの作製に成功しポリソームmRNAの解析も順調に進んでいるが、自己免疫の活性化に関わるサイトカインやマクロファージなどの解析が行われていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後はRNA修飾欠損モデルの解析に重点を置いて研究を進めていく。RNA修飾を認識する抗RNA抗体については、得られたクローンの結合力に問題があること、新たにライブラリーを取得することが困難になったことから研究の進展は難しいと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
類似の研究を行っていたため消耗品費などの経費が抑制され、当初見込額との間に差額が生じた。 物品費は、一般的な試薬・器具の他、ゼブラフィッシュの飼育費用などに使用する。旅費は、国際RNA学会(カナダ)および分子生物学会(横浜)などの国内の関連学会へ参加するために使用する。人件費・謝金は、ゼブラフィッシュの飼育・管理のための実験補助員の経費として使用する。その他の経費は、論文発表するための投稿料、学会の参加費などに使用する。
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