1) 原虫感染赤血球の破裂に伴い充分な濃度のATPが虫体とともに放出されること、2) 細胞外ATP刺激は赤血球膜骨格タンパク質デマチンをリン酸化し、膜骨格を緩めること、3) P2Y11受容体アンタゴニストは原虫の侵入を抑制すること、4) ATP分解酵素の存在下では原虫の侵入が抑制されること、を明らかにした。 以上の結果から、マラリア原虫の赤血球侵入には「感染型虫体とともに放出される宿主赤血球由来のATPが、赤血球膜上のP2Y11受容体を介した情報伝達を活性化し、膜骨格を緩めることが必須である」ことが強く示唆された。この一連の情報伝達経路を遮断することによる新規の治療法の確立が期待できる。
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