研究課題
ヒト造血幹細胞を超免疫不全マウスであるNOGマウスに移植すると、従来は全く不可能であったヒトリンパ球の正常発生・分化がマウス内で観察できる。そこで、移植する造血幹細胞にあらかじめ白血病癌遺伝子を導入して移植すれば、ヒト造血幹細胞の異常な分化、すなわち癌化をもNOGマウス内で再現できるのではないかと考えた。そこで、本研究では乳児白血病関連キメラ遺伝子であるMLL-AF10と活性化型rasとを同時に造血幹細胞に導入し、超免疫不全NOGマウスに移植した。その結果、移植後6週後から脾臓と骨髄に出現する異型性の強い単球系細胞が出現した。さらに、サザンブロット法を用いて異型細胞のクローナリティー解析を行ったところ、全てがモノクローナルあるいはダイクローナルであること分かった。すなわち、MLL-AF10白血病の一亜型であるヒト急性単球性白血病(FAB分類M5)をマウス内に発症させることに成功した。また、MLL-AF10あるいはK-rasの単独導入では白血病の発症が全く認められず、白血病細胞は全て両者(EGFPとVenus)を同時に発現していることが確認された。従って、本研究で確立したモデルは白血病の癌遺伝子2ヒットモデルとしても極めて有用であると考えられる。同様に、T細胞白血病関連がん遺伝子であるNotch1の活性化型タンパク質をコードする遺伝子ICN1を遺伝子導入した造血幹細胞をNOGマウスに移植した。その結果、ICN1を発現した細胞はほぼ全てがT細胞へと分化し、さらに、1例だけであるがT細胞白血病を発症した。活性化がNotch1がヒト血液細胞分化において、T細胞分化を促進しT細胞白血病発症を促すことがヒト化マウスモデルで示された。
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Biochem. Biophys. Res. Commun.
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PLOS ONE
巻: 8 ページ: e71594
10.1371/journal.pone.0071594