研究課題
本研究は副腎白質ジストロフィー(ALD)の病態解明から疾患克服を目指した萌芽研究で、全国の医療機関より紹介され診断した患者サンプルを用いたゲノム解析、脂質メタボローム解析、およびモデルマウスを用いて研究を進めた。今年度の成果として:①診断実績は全国の医療機関より送られた141検体を分析し、新たに副腎白質ジストロフィー41例(小児大脳型10例、成人大脳型3例、adrenomyeloneuropathy 3例、小脳脳幹型1例、addison型2例、発症前2例、女性保因者20例)を迅速に診断し、医療情報の提供を含めた診療支援を行うとともに、倫理委員会の承認、同意のもと患者リソースとして集積している。②大脳型発症因子の同定のため、大脳型、非大脳型ALD患者間で遺伝子発現の網羅的比較解析を行い、候補遺伝子産物の患者間血中濃度をELISA法にて比較した。③ALDの副腎機能不全発症機序解明のためABCD1ノックアウトマウスより、副腎皮質細胞を樹立し、Addison型患者と類似の病態のモデル系を確立した。④LC/MSを用いた患者検体の脂質メタボローム解析系を樹立し、極長鎖脂肪酸以外のALDに特異的、あるいは病型間で特異的に変動する分子種を探索可能な系を確立した。現時点でALD特異的に変動する分子種を特定し、解析を進めている。以上の成果により、集積したALD患者サンプル並びに遺伝子改変ノックアウトマウスを用いた多岐にわたる解析系が樹立され、既に複数の知見も得られている。今後、さらに本萌芽研究を発展させてALDの病態解明から疾患克服研究に繋げて行く。
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http://www1.gifu-u.ac.jp/~lsrc/dgr/shimozawa-hp/index.html