• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

難治性EBウイルス感染症に対する免疫寛容を利用した細胞療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24659493
研究機関名古屋大学

研究代表者

木村 宏  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30303621)

研究分担者 伊藤 嘉規  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20373491)
五島 典  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70201499)
鎌倉 真紀  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80437003)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード慢性活動性EBV感染症 / 細胞療法 / 母子間マイクロキメリズム / 免疫寛容
研究概要

慢性活動性EBウイルス感染症やEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症などの難治性EBウイルスは、治療抵抗性で予後不良な疾患である。化学療法や造血幹細胞移植が行われているが、治療関連死亡が多いなど問題点も多く、治療法は確立していない。近年、母子の体内には胎児期に移行した極微量のリンパ球がそれぞれに存在し、母子間免疫寛容が成立していることが明らかとなり、この免疫寛容を利用した細胞療法の可能性が拡がってきた。本研究の目的は、難治性EBウイルス感染症患者に対する新規治療法として、母から患者への大量リンパ球輸注による細胞療法を確立することである。本治療法の有効性・安全性を、in vitroおよび免疫不全マウスを用いたex vivoモデルにて検証し、更にはヒトでの臨床応用を試みる。
初年度である平成24年は以下のごとくの研究を実施した。
1) 母子間マイクロキメリズムの立証:慢性活動性EBV感染症患者5例およびその母から、文書にて研究参加の同意を得た。母子に対してHLA遺伝子の多型もしくはSex-determining region Y(SRY)遺伝子の有無に基づき、定量PCR法によりマイクロキメリズム解析を行った。うち一組の血液中にマイクロキメリズムの存在を立証した。
2)免疫不全マウスを用いたex vivoモデルの確立:患者リンパ球を免疫不全マウス(NOGマウス)に経静脈的投与した。数週でリンパ節腫脹、肝脾腫が出現、臨床症状に伴って血液中のウイルスDNAも増加した。マウスモデルにおいて、難治性EBウイルス感染症の再現を実証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)目標解析症例数として慢性活動性EBV感染症患者を2年間で10例としていた。初年度に5例の患者よびその母親から同意を得、検体を採取できたため、ほぼ予定通り患者リクルートできていると考える。
2)母子間マイクロキメリズムの同定法を確立し、5例に適用、1組の母子で双方の血液中にマイクロキメリズムを証明できた。
3)免疫不全マウスを用いたex vivoモデルを確立した。
一方で、初年度に予定していた免疫寛容およびウイルス感染細胞に対するキラー活性のin vitro解析による検証については未だ未実施である。
以上より、当初予定した研究の75%は達成できていると考え、おおむね順調に進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

1) 平成24年度に引き続き、難治性EBウイルス感染症と診断された患者とその母に対し、免疫寛容とキラー活性効果をin vitroおよびマウスを用いたex vivoモデルを用いた実験で検証する。
2) 患者リンパ球を免疫不全マウスに接種し、難治性EBウイルス感染症を再現した後に、母のリンパ球をマウスに輸注し、その効果をex vivoで検証する。
3) in vitroおよびex vivoで免疫寛容とキラー活性が認められた母子を対象に、母から患者へのリンパ球輸注による細胞療法を施行する。まず少量のリンパ球から開始し、徐々に量を増加し、その効果と安全性を検証する。

次年度の研究費の使用計画

上記の研究計画を実施するために、以下の消耗品費を計上している。
1) 患者・母のリンパ球分離に必要な各種ディスポピペット・チップ。2)リンパ球混合培養試験、細胞障害性試験、およびEBウイルス感染T/NK細胞を樹立・維持するために必要な組織培養関連消耗品。3)フローサイトメトリーを用いたクロスマッチ、およびウイルスDNA定量のための核酸抽出キット、定量PCRキット、各種抗体。ex vivo解析のために相当数のNOGマウス(40匹)が必要。4)マウスの病理組織学解析のためのin situ hybridizationプローブ、各種モノクローナル抗体。5) 患者血液中のウイルス特異的細胞性免疫を定量測定する為に、EBウイルス特異的テトラマー抗体。
更に、実験補助およびデータ解析・資料整理のための人件費としての謝金を計上している。また、得られた成果を国内外の学会に発表するための旅費および一流雑誌に投稿する費用も予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Demonstration of type II latency in T lymphocytes of Epstein-Barr Virus -associated hemophagocytic lymphohistiocytosis.2013

    • 著者名/発表者名
      Ito Y, Kawamura Y, Iwata S, Kawada J, Yoshikawa T, Kimura H.
    • 雑誌名

      Pediatr Blood Cancer

      巻: 132 ページ: 1592-601

    • DOI

      10.1002/pbc.24319

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epstein-Barr virus (EBV)-associated T/NK lymphoproliferative diseases in non-immunocompromised hosts : prospective analysis of 108 cases2012

    • 著者名/発表者名
      Kimura H, Ito Y, Kawabe S, Gotoh K, Takahashi Y, Kojima S, Naoe T, Esaki S, Kikuta A, Sawada A, Kawa K, Ohshima K, Nakamura S.
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 119 ページ: 673-86

    • DOI

      10.1182/blood-2011-10-381921

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of flow cytometric in situ hybridization assay to Epstein-Barr virus-associated T/NK lymphoproliferative diseases.2012

    • 著者名/発表者名
      Kawabe S, Ito Y, Gotoh K, Kojima S, Matsumoto K, Kinoshita T, Iwata S, Nishiyama Y, Kimura H.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 103 ページ: 1481-8

    • DOI

      10.1111/j.1349-7006.2012.02305.x.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi