研究課題/領域番号 |
24659501
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
糸井 利幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10264780)
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研究分担者 |
問山 健太郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00433285)
岡 達二郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80433283)
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キーワード | ジクロル酢酸 / カルニチン / 再灌流障害 / 心筋 / 新化合物 |
研究概要 |
【研究目的】ブドウ糖酸化亢進作用を有するDichloroacetate (DCA)は心筋虚血後再灌流障害や肺高血圧を抑制することが知られている。脂肪酸酸化に必須のacetyl-l-carnitineは細胞膜の脂質過酸化抑制作用を有する。本研究はそれぞれの薬理作用を同時に発揮することが期待される化合物dichloroacetyl-l-carnitineを新たに合成し、抗酸化作用を有する臓器保護薬としての可能性を検討することである。平成24年度の研究項目は①本化合物の安定性の検討、②生物学的等価置換基を用いた構造改変による安定性を向上させた化合物の作成であった。 【研究結果】新たに合成したdichloroacetyl-l-carnitineは極めて容易に加水分解されることが判明した。ester結合が、L-carnitineの酸、すなわち-COOHの存在で加水分解しやすいと推定した。そこで、生物学的等価置換基を導入して新化合物への変換をおこない、薬理学的活性自体を変化させずに安定した化合物②を作製できた。また、薬理学的にさらに強化した新たな化合物③の作製にも成功した。現在、ラット孤立灌流心を用いた再灌流傷害に対する化合物③の効果を検討しているが、ばらつきがあるものの対照に比べて良好な機能回復を達成することが可能であることが判明しつつあり、化合物②の効果検証も並行して行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた単純構造の新化合物は極めて不安定であったが、その欠点を克服すべく開発した生物学的等価置換基を導入した新化合物が比較的容易に合成することができ、しかも安定した合成物であったため薬理効果検証を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
われわれは既にチアノーゼ性先天性心疾患ラットモデルを作成することに成功している。そのモデルラットから摘出した心臓を用いた心臓灌流システムで虚血後再灌流障害に対する、現在合成に成功した2種類の化合物の心機能回復など薬理学的心筋保護効果を検討する。その際、l-carnitine、dicholoroacetate単独投与を対照として薬理効果の違いを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
加水分解されにくい新化合物の設計と合成に予定より時間を費やしたため、検証実験のための低酸素負荷モデル動物作成も遅らさざるを得なかった。無駄を省くために、必要な新たなラット購入や低酸素負荷に必要な消耗品、物品購入を遅延させた。 既に新化合物は合成され、年度末から検証実験を始めているので、引き続き必要な物品購入に充てる予定である。
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