研究課題/領域番号 |
24659502
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
周藤 文明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20271166)
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研究分担者 |
日高 京子 北九州市立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00216681)
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キーワード | 多能性幹細胞 / HCN4チャンネル / 心筋細胞 / 刺激伝導系細胞 |
研究概要 |
我々の研究は、ウイルスを用いた遺伝子導入(高い発癌リスク)なしに、ES幹細胞から作った心筋細胞から、刺激伝導系心筋細胞に特異的に発現するHCN4(Hyperpolarization Activated Cyclic Nucleotide-Gated Potassium channel 4)をマーカーとして、高度に分化した心筋細胞(刺激伝導系細胞)を分離誘導する事を目的としている。心筋細胞を生きた状態で分離誘導するため、HCN4の細胞表面エピトープに結合でき得る抗体を4種、考案、作製した。 本研究では、最終的には、共同研究者がすでに確立している心筋細胞から、刺激伝導系心筋細胞を分離させることを目標とするが、効率的に機能する抗体が使用できれば、心筋細胞から刺激伝導系細胞を分離させるための手法は十分に確立されているが、人手と手間を要するので、その前に抗体の有用性を十分に確認する必要が有る。現在、抗体結合能の確認作業を行っている。 平成25年度は、効率的にHCN4の細胞表面エピトープに結合出来る抗体を選別するため、HCN4 を強制発現させたCHO細胞とコントロールのCHO細胞に対し、我々の4つの抗体と、すでに市販されているHCN4 抗体を反応させ、免疫組織染色を試みたが、我々の抗体の細胞表面への結合は確認出来なかった。原因としては、CHO細胞の取扱いの難しさ、CHO細胞におけるHCN4の発現が不十分であった可能性が有るため、HCN4の発現が十分に確認されていて、取扱いに慣れているウサギ/ラット組織への HCN4抗体結合能の確認実験を準備し、実行のための手続き作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々の抗体の有用性は、HCN4を強制発現させたCHO細胞を用いる方法では確認できなかったが、[今後の研究の推進方法 等]で述べられる方法で我々の抗体の有用性は確認されるものと考える。実験方法の追加申請が認められ次第実行できる体制を既に整えた。 心筋細胞の作製、抗体を使っての分離方法は、分担研究者により十分に確立されているので、抗体の有用性が確認されれば、心筋細胞からの刺激伝導系心筋細胞の分離の試みは、数か月の以内に実行 可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
[研究実績の概要]で述べた様に、平成25年度は、HCN4 を強制発現させたCHO細胞とコントロールのCHO細胞に対し、我々の4つの抗体と、すでに市販されているHCN4 抗体を反応させ、免疫組織染色を試みたが、我々の抗体の細胞表面への結合は確認出来なかった。」この原因として、HCN4 を強制発現させたCHO細胞を使用した事が考えられたので、HCN4の発現が十分に確認されていて、我々が取扱いに慣れているウサギ/ラット組織を用いて、HCN4抗体結合能の確認作業を行う事とし、そのための手続き中である。 我々の抗体の有用性が確認された後は、市販のHCN4抗体(入手済み)を用いWB法により、分担研究者により作製される心筋細胞におけるHCN4発現を確認した後、この心筋細胞からの刺激伝導系細胞の分離誘導を行う。 刺激伝導系細胞の分離が困難な場合、その主要な原因は1)分担者による心筋細胞におけるHCN4発現が不十分である場合、2)抗体がこの心筋細胞からの刺激伝導系細胞の分離誘導を行うのに十分な機能を果たさない場合、が考えられる。1)の場合、iPS細胞から誘導した心筋細胞の提供を複数の研究者から申し出を受けているので、それを用いる。また、動物心臓から酵素的に心筋を分離する事も可能で、研究代表者は動物からの心筋単離には精通しているので、動物心臓から酵素的に分離した心筋細胞を使っての研究もオプションとして考えている。 2)の場合、製作済みの4種類の抗体の他に、考案済み抗体が2つあるので、それら作成し使う事もオプションとして考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、当初、マウスを用いたモノクローナル抗体を使用する計画であったが、ポリクローナル抗体でも初期の実験は実行可能であると判明したため、ポリクローナル抗体を作製した。当該助成金を翌年度に使用する事になった。 現在、行っている抗体有用性確認作業により、有用性が確認されれば、多能性幹細胞からの心筋細胞の作製、心筋細胞からの刺激伝導系細胞の分離、分離された刺激伝導系心筋細胞の評価など、方法論は我々の中で十分に確立されており、データの取得と、前年度までは出来なかった学会等への発表も予定されている。当該資金は、これらの目的のために使用される予定である。
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