研究課題
[背景] 神経変性症と腎糸球体硬化症は長期療養を要する難病で、病態解明が待たれている。[目的] 難病の治療開発の最初のステップとして 末梢ニューロンと腎糸球体ポドサイトの2系統に共通する機能・構造維持のための必須因子を明かにする。[方法] 世界でもまれな末梢神経変性(Charcot-Marie-Tooth病 CMT)と巣状分節性糸球体硬化症(Focal Segmental Glomerulosclerosis) を合併する症例を疾患モデルとして、先端ゲノム技術を導入して原因遺伝子を明らかにする。[結果] FSGSに加えて末梢神経変性(Dominant intermediate Charcot-Marie-Tooth disease E CMTDIE; OMIM 614455)を合併する3例にinverted formin-2(INF2)に3つのヘテロ接合体ミスセンス変異を同定した(J Peripher Nerv Syst.2013)。FSGS単独型患者群に見つかるINF2変異は、DID領域内でもC端(exon3,4)に集中しているのに対し、FSGSとCMT合併症例では、N端(exon2)に分布する傾向があった。このようにINF2変異は変異を生じる蛋白領域によって、会合する蛋白相互作用が変化し、臓器障害パターンの違った多彩な臨床スペクトラムを呈すると考えられる(ドメイン特異的変異効果;domain-specific mutation effects)。[意義・期待される効果] 同じ疾患遺伝子でも変異の部位によって、ポドサイト障害に加えてニューロン変性を合併する例があることがわかった。現在変異体を培養細胞に発現させて、変異が細胞レベルでどのような影響を与えているのか(アクチン再構築、細胞周期など)を調べている。このことは腎障害の進展機序の以外に神経細胞の変性・腫瘍化に関するメカニズムの解明に貢献する可能性がありさらなる検討を行っている。
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腎と透析
巻: 76巻6号 ページ: 未定
J Peripher Nerv Syst.
巻: 18(1): ページ: 97-98
10.1111/jns5.12014.
http://www.cis-trans.org/kobe_ku/research.html