研究課題/領域番号 |
24659507
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
滝 敦子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20614481)
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キーワード | 新生児白質損傷モデル / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
1.LPS羊水腔内投与に惹起される子宮内感染の評価として、妊娠20日における胎盤組織における好中球数、CD68陽性細胞数、MPO陽性細胞数を測定したところ、いずれも上昇していた。 2.LPSを日齢4の新生仔に投与し惹起される脳障害の評価として日齢12の新生仔脳組織の脳室周囲白質量をMyelin basic proteinの陽性面積で調べたところ、LPS投与群ではコントロール群と比較して有意に低下した。以上よりLPS投与により白質損傷が惹起されたと考えられた。脳障害新生仔におけるMSC、またはMSC培養上清の治療効果として、日齢12におけるMBP陽性領域、つまり白質量は増加する傾向にあった。培養上清よりもMSC投与の方が効果があったが有意差は認めなかった。 3.日齢6の新生仔脳における炎症性サイトカイン・ケモカインの発現は、LPS投与により有意に上昇していた。脳障害新生仔におけるMSC培養上清投与により、日齢6の炎症性サイトカイン・ケモカインの発現は有意に低下しており、MSC培養上清には抗炎症効果があることがわかった。間葉系幹細胞は、胎盤、臍帯、骨髄由来のものを使用したが、骨髄、臍帯由来の方がより効果的だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新生仔白質損傷モデルを作成するにあたり、個体間の差が大きくばらつきが大きかったため、投与時期・投与量に関して見直しが必要となった。 投与する間葉系幹細胞の質に関して、ばらつきが大きかったため、より効果的な細胞を採取するにあたり、細胞の分化能や表面マーカーを評価し直し、試行錯誤が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
今回の実験で子宮内感染に起因する脳室周囲白質損傷に対して、出生後のUCMSC投与が有効である可能性が示された。しかし、有意差がでなかったことより、さらに効果的なMSCの採取法、培養上清調整法を検討する必要があると考えられた。 またMSCの効果機序として、抗炎症効果以外に、オリゴデンドロサイト前駆細胞の数や細胞死数、マイクログリア数などを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
モデルの作成、細胞の評価に関し同じ実験を繰り返う期間が長かっため、次に必要な試薬を購入するにまで至らなかったため。 間葉系幹細胞の脳室周囲白質損傷に対する治療効果の機序として、細胞死、前駆細胞数、炎症細胞数などを詳細に検討するにあたり、抗体などの試薬を購入する予定である。
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