研究概要 |
我々は,細胞内パターン認識受容体であるNLRP3の変異によってインフラマソームが自発的に活性化され,IL-1βが過剰産生されることで臨床症状を呈するクリオピリン関連周期性症候群の解析に従事し,皮膚におけるIL-1分子の役割に着目して解析を進めている。最近,IL-1family分子の1つとして,炎症に伴う細胞障害によって放出され,Th2タイプのサイトカインを誘導し,肥満細胞の脱顆粒を惹起して炎症に関わるIL-33が注目を集める。特に,消化管の脂肪組織中に見られるリンパ節様構造に存在し,幹細胞に近い表面マーカーを有するリンパ球様細胞(ILCs)が,IL-33に反応して大量のTh2サイトカインを産生すること,ILCsが存在するリンパ節様構造が現局性強皮症の組織で散見されるリンパ球様細胞が集簇した構造に類似すること,血清IL-33が強皮症患者で上昇しており皮膚硬化の程度と相関すると報告されることから,皮膚硬化性病変におけるIL-33の効果を検討する目的で,このIL-33欠損マウスと野生型マウスにおいて,ブレオマイシン投与時にみられる皮膚硬化に差違が見られるかを検証した。しかしながら,ブレオマイシン投与6週間の時点で,野生型マウスにおいて,ブレオマイシン投与部位に一致して組織学的な線維の増殖を伴う皮膚硬化を認めるものの,細胞浸潤は殆ど見られなかった。また,期待に反して,IL-33欠損マウスにおいても野生型同様に組織学的な皮膚硬化が観察され,野生型との差違は見られなかった。以上の結果から,皮膚におけるIL-33の効果を検証する際には,Th2タイプの反応が関わる免疫反応に着目して,その作用を検証すべきと考え,現在そのモデルを構築中である。
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