研究課題
抗原の反復刺激はその局所や所属リンパ節にTh2サイトカイン優位な環境を作り出すことが知られている。さらにTh2サイトカインであるIL-4やIL-13は、線維芽細胞を刺激してコラーゲン産生を誘導することも知られている。また、同様の反復抗原刺激を気道に行うと、全身性強皮症で認められる血管病変である肺高血圧症が誘導されることも知られている。従って、本研究では、自己抗原であるトポイソメラーゼ Iの反復刺激によって全身性強皮症の新規動物モデルを作成することが目的である。まず、C57BL/6マウスの背部皮膚へ3ヶ月間にわたり27ゲージの注射針でトポイソメラーゼ Iを1日おきに皮下投与したが、皮膚硬化は認められなかった。トポイソメラーゼ I単独の投与では皮膚硬化を誘導するのに不十分と考え、トポイソメラーゼ Iに加えてフロイドアジュバンドを用いた。トポイソメラーゼ Iと完全フロイドアジュバンド(CFA)を1:1で混和した溶液を、C57BL/6マウスの背部に2週間隔で6週まで合計4回皮下注を行った。その結果、皮下注6週後および8週後で、トポイソメラーゼ Iのみ、あるいは生理食塩水のコントロール溶液と比較して、真皮の厚さが有意に肥厚した。CFAを用いずに不完全フロイドアジュバンドを用いた場合には、皮膚の肥厚は認められなかった。皮膚のハイドロキシプロリン量もトポイソメラーゼ IとCFAの混合液で処理した場合に、皮膚肥厚と同様に増加していた。トポイソメラーゼ IとCFAの混合液処理後6週および8週の肺でも線維化が認められた。以上から、トポイソメラーゼ IとCFAの混合液を反復投与することによって、皮膚硬化と肺線維症を誘導することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って研究が進んでいる
今後は、局所のサイトカインの発現、血清中のサイトカインの濃度、血清中免疫グロブリン濃度、自己抗体の測定を行う予定である。
該当なし
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