研究概要 |
抗原の反復刺激はその局所や所属リンパ節にTh2サイトカイン優位な環境を作り出すことが知られている。さらにTh2サイトカインであるIL-4やIL-13は、線維芽細胞を刺激してコラーゲン産生を誘導することも知られている。従って、本研究では、自己抗原であるトポイソメラーゼIの反復刺激によって全身性強皮症の新規動物モデルを作成することが目的である。昨年度、トポイソメラーゼIと完全フロイドアジュバンド(CFA)を1:1で混和した溶液を、C57BL/6マウスの背部に2週間隔で6週まで合計4回皮下注を行うことによって、皮膚硬化と肺線維症を誘導することに成功した。本年度は、各種サイトカインの発現や自己抗体産生などについて解析を進めた。トポイソメラーゼIとCFAを投与したマウスの血清、皮膚、肺では、RT-PCR法およびELISA法にて、IL-4、IFNγ、IL-10、TGFβ1、TNFαの発現がコントロールマウスと比較して有意に増加していた。さらに、トポイソメラーゼIとCFAを投与したマウスでは、ELISA法にて血清中のIgM,IgG1、IgG2a、IgG3の有意な増加がみられた。加えて、蛍光抗体間接法による抗核抗体は84%のマウスに同定された(コントロールマウスでは、5%に検出された)。 ELISA法にて、IgM型およびIgG型の抗トポイソメラーゼI抗体価が有意に増加していた。抗トポイソメラーゼI抗体の力価は、トポイソメラーゼIとCFAの投与8週後でピークとなり、投与終了6週後から低下し始めた。IL-6ノックアウトマウスにトポイソメラーゼIとCFAの投与すると、投与6週以降で、野生型マウスと比較して、有意に皮膚硬化、肺線維化が軽減した。このように、IL-6が本全身性強皮症モデルの線維化に重要であることが示された。
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