研究課題/領域番号 |
24659525
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
戸倉 新樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
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研究分担者 |
平川 聡史 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50419511)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | フィラグリン / プロフィラグリン / カリクレイン / 皮膚バリア / アトピー性皮膚炎 |
研究概要 |
フィラグリン(FLG)は皮膚バリア機能を担う重要な因子の一つであり、その前駆体であるプロフィラグリンから酵素によるプロセッシングを受けて、FLGモノマーとなることで、皮膚バリア機能の一翼を担う。しかし、FLGモノマーの産生プロセスやそのプロセスに関連する酵素の同定は未だ不明瞭である。FLGの酵素によるプロセッシング過程の障害でFLGモノマーが作られずアトピー性皮膚炎(AD)になることも考えられる。そこでプロフィラグリンにおいてFLGモノマー同士を繋ぐリンカーを切断する酵素を、生化学、遺伝子工学的手法を用いて同定した。マウスの表皮から酵素を抽出し、それがリンカーを切断するのか、リコンビナントタンパクを作成して検討した。この評価系を用いてすカリクレイン5(KLK5)とがリンカー切断酵素であることを見出した。免疫組織学的染色、proximal ligation assay、免疫電顕によって、KLK5とプロフィラグリンは顆粒層で共に近傍に局在することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、浜松医科大学皮膚科学講座と資生堂研究所の共同研究として行った。実験は、浜松医科大学皮膚科学講座が中心となった。研究協力者である当初大学院生であった坂部純一君が、2012年4月より、当講座の特任助教となったため、研究が著しく進展した。彼は、フィラグリンに関する研究を3年以上に亘って行っており、方法論、技術について熟練している。研究協力者資生堂研究所セニア•サイエンティストの日比野利彦は表皮蛋白の抽出とその分画の酵素活性を測定することができ、またフィラグリンC末部分のモノクローナル抗体を作製しており、本申請課題におけるウエスタンブロットに応用することができた。このような連携は申請課題の成就を確実にした。加えて角化細胞へのsiKLK5導入実験におき、KLK5の抑制は、プロフィラグリンのプロセッシングの破綻を起こした。
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今後の研究の推進方策 |
すでにKLK-5が重要なプロフィラグリンのプロセッシング酵素であることが判明した。そこでAD、尋常性魚鱗癬の皮膚より抽出した粗抽出タンパクを用いて、KLK5, 7, 14 の活性化と発現を検討する。KLK5の活性化の検討には、人工合成基質 BOC-Val-Pro-Arg-AMC(Cat#:ES011, R&D)を、KLK7の活性化の検討には、MCA-Arg-Pro-Lys-ProVal-Glu-Nval-Trp-Arg-Lys(Dnp)-NH2(Cat#:ES002、R&D)を、KLK14の活生化の検討には、BOC-Val-Pro-Arg-AMC (Cat#: ES011, R&D)を用いる。基質と酵素を適当な緩衝液にて反応させた後、酵素による基質分解時の産物である蛍光分子に380nmまたは320nm(励起波長)の励起光を当て、それにより発せられる蛍光波長、405nmまたは460nmを、蛍光マイクロプレートリーダーを用いて解析する。また、KLK5, 7, 14の発現は、ウエスタンブロット法を用いて検討する。これらの研究推進のための方策として、すでにADや尋常性魚鱗癬の患者のための特殊外来を行っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品を中心に、KLKの活性化と発現のための実験計画を立て、研究費の使用計画を策定している。一部、国際学会での発表のための渡航費用とする。
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