研究概要 |
エクリン汗によりアトピー性皮膚炎が増悪し、またオムツかぶれ等の湿疹、汗疹が起こるが、そのメカニズムは解明されていない。また、アトピー性皮膚炎においては汗の成分に対するIgEを介したI型アレルギーが存在する。一方、アトピー性皮膚炎の重要な増悪因子であるダニ抗原は IgE非依存性に表皮角化細胞を直接活性化する。そこで、我々は汗には表皮角化細胞を直接刺激する物質が含まれており、アトピー性皮膚炎の増悪に関与しているのではないかと考えた。 倫理委員会の承認を得た後に健常人から汗を回収した。脱塩、凍結乾燥で濃縮後、フィルターを通して滅菌した。汗サンプルを培養ヒト角化細胞に添加したところ、JNK, p38, ERK, NF-kBの経路が活性化され、IL-8, TNF-alphaを産生した。刺激物質の成分を検討したところIL-1alpha, betaであった。これらの反応は抗IL-1 receptor抗体でブロックされた。さらに痒みに関連するサイトカインであるIL-31も同様に汗中に産生されていた。これらのことからバリア破綻しているアトピー性皮膚炎では汗が直接角化細胞を刺激して炎症を惹起していると考えられる。これらの知見はPlosONE 2013, 8; e67666.に論文発表した。
|