研究課題
ヌクレオチド除去修復欠損性日光過敏症のウイルス発現系とゲノム解析による網羅的探索紫外線高感受性症候群、色素性乾皮症等の症例を国内外から新たに数百例収集した。この目的のため、海外患者会へ定期的に参加して現地臨床医や患者家族らと交流した。収集した症例について、DNA修復活性を測定し、DNA修復欠損をしめす症例について分類した。その後、ウイルス相補性試験により既知のDNA修復遺伝子に変異を有する症例に細分化した。これら既知の遺伝子に変異を有する症例については、Sanger法により疾患責任変異を同定した。この過程で、既知のヌクレオチド除去修復遺伝子であるERCC1ないしはXPFに変異を持つコケイン症の症例3例を見いだした。興味深いことに、このうちのXPFに変異をもつ1例では、コケイン症(CS)、色素性乾皮症(XP)、ファンコーニ貧血症(FA)の3種の異なる疾患に特徴的な臨床所見を示した。また、この患者で同定されたXPF遺伝子変異はこれまでに報告が無く、データベースにも登録の無い新しいタイプの変異であった。この変異ERCC1/XPF複合体をヒト細胞から精製し、ヌクレオチド除去修復のDNA切り出し修復活性を測定したところ、野生型と比較して酵素活性の低下が観察された。
2: おおむね順調に進展している
症例収集、分類、既知の遺伝子に生じた変異による疾患の同定、分子機能解析までシステマティックに進行している。
既知のDNA修復遺伝子に変異を持たないケースについて、次世代ゲノム解析を実施する。
ヌクレオチド除去修復(NER)欠損性疾患に対応した臨床診断システムの運用は順調である。しかし、診断依頼のあった検体でNER正常の検体も多数あった事から、DNA修復欠損性疾患全般に対応できる診断システムの開発が早急に必要となった。システム開発に力を入れ、ゲノム解析の進行が予定よりも遅れたために未使用額が生じた。次年度には、ゲノム解析と更なる検体収集及び臨床診断を実施することとし、その経費に未使用額を充てたい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
The Journal of Clinical Investigation
巻: 123 ページ: 2969-2980
10.1172/JCI67349
The American Journal of Human Genetics
巻: 92 ページ: 807-819
10.1016/j.ajhg.2013.04.007
http://www.nrgic.prj.nagasaki-u.ac.jp/