研究課題/領域番号 |
24659546
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30384720)
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研究分担者 |
大久保 善朗 日本医科大学, 医学部, 教授 (20213663)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ニューロフィードバック / 精神科リハビリテーション / リアルタイムfMRI |
研究概要 |
本研究は、感情・社会認知機能の障害が中核とされる高機能自閉症・アスペルガーを対象に、リアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用い、社会性・感情機能に関連する脳局所脳活動の改善をすることで、感情機能や社会認知機能の改善・回復を目指し、その有用性を調べ、臨床応用の可能性について検討することを目的としている。そこで、本年度は感情処理の中核をなす扁桃体にターゲットをあて、扁桃体の神経活動をリアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いて制御させることを目標に研究を行った。まず感情を惹起させる刺激をみせ、扁桃体の部位を同定し、その後感情を惹起させる刺激を提示しない状況で、被験者の扁桃体の脳活動を画面上で提示し、その活動を自分で工夫して活動を高めるように努力させた。その結果、トレーニングが進むにつれて、自ら制御することができるようになった。さらに、その時扁桃体にシードを指定してネットワーク解析(PPI)をすると、島、前部帯状回の活動が見られた。つまり、扁桃体の活動のを高めることができた時には、島、前部帯状回の活動も高くなっていることが明らかになった。また、トレーニングが終わった後に、感情を惹起させる刺激を提示すると1回目に提示したときよりも、より扁桃体の活動が高くなっていた。トレーニングにより扁桃体の活動が活性化され、感受性が高まった結果、同じ刺激を見ているにも関わらず、扁桃体の活動が強くなったということが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、計画で1年目に健常者を用いて、扁桃体の活動を制御させることを目標にして研究を行ってきた。その結果、その目標は達成できた。今後、2年目にアスペルガーの患者を対象とした実験を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度、不快な感情との条件付けを用いて扁桃体の活動を制御することに成功した。アスペルガーの患者を対象に実験を行う際には、快な感情との条件付けを行うことのほうが、より臨床効果として効果がみられると考えられるため、平成25年度は顔表情認知をもとに、トレーニングを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、平成24年度に計画していた認知課題を用いたアスペルガー患者のスクリーニング等については、時間的には制約がかかり大変であるが、実験直前にスクリーニングを行うほうがリアルタイムfMRIによるバイオフィードバック法を用いたトレーニング効果を推測する上でより効果的であると判断したため、平成25年度に行うように計画を変更した。それにかかる経費として使用する予定である。また、学会発表等を行う予定であったが、結果の信頼性についてより検討してから行ったほうがよいと判断したため、結果の公表のための学会発表についても平成25年度に積極的に行う予定である。その経費としても使用する予定である。
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