精神疾患患者の増加に伴い,より効果的な向精神薬の開発がいっそう求められている.一方で,向精神薬の開発過程で用いられるin vivo スクリーニング系の妥当性を疑問視する声も少なからず存在し,その妥当性の低さが向精神薬開発のボトルネックになっているとの指摘もある.そこで,本研究では,申請者らが開発した精神疾患モデル動物作成技術をベースに,ロボット技術と工学的数値解析技術を融合させた新たな向精神薬のin vivo スクリーニング系の開発を目的とする.具体的には,作成したモデル動物に対して複数の行動試験を行い,その結果をベクトルとして多次元的に解析することで,より多角的に向精神薬の評価を行う方法論の構築を目指した. 平成25年度は新たな小型移動ロボットの開発とそれを用いたストレス曝露実験系の構築に取り組んだ.ロボットの開発においては,可動脊椎を有し,立ち上がりや乗りかかりが可能な小型移動ロボットを開発した.開発したロボットを用いてラットに対して立ち上がりや乗りかかりを行う事で,ラットの活動性を操作可能な事を確認した.また,ロボットからラットに対して攻撃的な働きかけを行う事で,ラットの鬱的行動の発現頻度が高まることが事が確認された.一方,ロボットからラットに対して友好的な働きかけを行うと,ラットの鬱的行動の発現頻度が抑制されることを確認した.
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