研究課題/領域番号 |
24659549
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
池田 和隆 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 参事研究員 (60281656)
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研究分担者 |
笠井 慎也 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (20399471)
萩野 洋子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (40332382)
藤田 雅代 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主席研究員 (90415539)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 神経科学 / 生理活性 / 脳・神経 / 薬理学 |
研究概要 |
ドーパミンは、快情動、人格、注意など主要な精神活動や運動を制御する極めて重要な脳内物質である。ドーパミン欠乏マウスの解析は、ドーパミンシステムの機能解明において画期的な手法であるが、予備検討により、従来の条件ではドーパミンが脳に残存していることが明らかになった。そこで本研究では、真のドーパミン欠乏マウスを用いることで、ドーパミンシステムの精神活動における真の役割の解明を目指した。平成24年度は以下の成果を得た。 ドーパミン欠乏マウスは、ドーパミンの前駆体であるL-DOPAを毎日投与することで長期間飼育することができた。L-DOPAを1日間断薬してからマイクロダイアリシス分析によって線条体における細胞外ドーパミン量を測定したところ、ドーパミンが検出された。また、メタンフェタミンを投与すると、細胞外ドーパミン量が数倍に上昇した。一方、3日間のL-DOPA断薬後では、細胞外ドーパミンは検出限界以下であった。 3日間のL-DOPA断薬後に移所運動量試験を行った結果、ドーパミン欠乏マウスは初期には低活動であったが、30分間に徐々に行動量が増加し、その後測定した5時間は顕著な活動亢進を示した。定型抗精神病薬のハロペリドールを投与したところ、野生型マウスでは強い鎮静効果が現れたのに対して、ドーパミン欠乏マウスの活動量は亢進したままであった。次に、非定型抗精神病薬のクロザピンを投与したところ、野生型マウスと同様にドーパミン欠乏マウスにおいても移所運動量が顕著に低下した。クロザピンには多数の作用点が知られているが、それぞれの作用点に特異的な薬物を投与したところ、ムスカリニックアセチルコリン受容体作動薬がクロザピンと同様に移所運動量を低下させることが明らかとなった。 これらの結果は、ドーパミンが枯渇すると異常行動が現れ、この異常行動にはアセチルコリンシステムが関与することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に研究を妨げる予想外の事象は生じなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通りに推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越し分を当初の次年度交付予定額に加えることで、非常勤職員の長期雇用などを可能にして、より有効に研究費を執行して研究を推進する。
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