研究課題
現代社会においては,水銀,鉛,ヒ素,アルミニウム,カドミウムなどの有毒重金属が,環境または食物などから人体に摂取されており,さまざまな疾患の誘因となっている.また,亜鉛,アルミニウム等の微量金属がアルツハイマー病やパーキンソン病と関与している可能性や,がん化学療法ではプラチナを含む製剤が頻用されている.本研究は,マイクロビームを微細にスキャンする技術(大気マイクロピクシー)によって,細胞内の各種元素の分布を定量化し,がん,脳神経疾患,重金属病などの発生機序や治療効果発現カニズムを明らかにするための診断法の開発を行った.特定の元素の濃度と信号強度の定量的解析が可能なことは確認済みであるため,培養細胞と実験動物を用いてシスプラチンの細胞内の取り込みに再現性があることを確認した.薬剤の細胞内取り込みの初期段階から,細胞内の拡散,核への集積,細胞形態の変化,細胞死のいろいろな段階で,プラチナとともにP,S,Cl,Kなどの常在する元素を画像化し,それぞれの元素の動きを定量化し,画像解析を行った.また,肺組織の測定に先立って,粒度分布測定用標準粉末,岩石標準試料,を用いて正しく測定が可能かどうかを確認した.一部の肺標本については,粉塵やアスベストの暴露肺,中皮腫などのヒト組織を用いて標本を作製し細胞や組織中の重金属の定性的,定量的解析を行った.培養細胞を用いた抗癌剤の取り込みの研究では,微小プロトンビームにより核,細胞質の形態をきわめて明瞭に画像化することが可能であった.本研究による卓越した成果は,物理工学系から新たな医学生物学分野への応用,医工連携研究であること,体内の微量元素が可視化できるだけでなく定量化も可能であること,また,現代における難病(中皮腫,脳変性疾患)の科学的確定診断が可能となること,の3点が重要な点である.
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (32件) (うち招待講演 3件)
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