本研究の目的は,広域分子追跡及び定位破壊力をもつボロントレースドラッグを創出することである.そこで,終末糖化産物(AGE)を標的として,ホウ素修飾クルクミノイドUTX-51と熱中性子の併用によるウシ血清アルブミン(BSA)およびAGEモデルとしての糖化BSAの破壊実験と薬物動態解析を行った.UTX-51は熱中性子との併用時にBSAおよび糖化BSAを効率よく破壊すること,また,鶏卵モデルによる薬物動態解析よりUTX-51は血液脳関門を通過し脳に分布することが示された.以上の結果より,UTX-51はボロントレースドラッグとして有望であり,アルツハイマー治療薬の候補となり得ることが示唆された.
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