研究課題/領域番号 |
24659571
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中神 佳宏 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (80347301)
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研究分担者 |
原 孝光 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70464542)
井上 登美夫 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80134295)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞標識 / cell-in-cell活性 / 分子生物学的標識 |
研究概要 |
当初の予定よりHOZOT細胞の供与が遅れたため、今年度ではHOZOT細胞による実験は断念し、その代わりNK細胞を用いて実験することとした。LK-2細胞やHep G2細胞等のがん細胞群及び正常組織細胞群を液体培地上で培養後、それぞれの細胞群の対数増殖期に、In-111-NK細胞を等量ずつ液体培地中に加え一定時間37℃、5%CO2中でインキュベートした。 更に、時系列的にそれぞれの細胞群から培地を取り除き、PBSで3回wash、細胞溶解バッファーを用いてwhole cell lysateを取り出し放射能カウントを測定した。またそれぞれの総タンパク濃度もBCA法により測定し、単位タンパク量(細胞数に比例)当りのカウントに換算し、放射能を比較した。しかしながら、各細胞群の放射能には有意な差はなく、In-111-NK細胞が癌細胞内に特異的に侵入しているとは考えにくかった。これは、NK細胞はHOZOT細胞に比しcell-in-cell活性が乏しいためと思われた。 また、NK細胞の分子生物学的標識を試みた。即ち、NK細胞に1型単純ヘルペスチミジンキナーゼを強制発現させI-123-FIAUやF-18-FHBGを取り込み易い形質に転換したものの、現在のところこれらの取り込みは不十分であった。 尚、現在ではHOZOT細胞供与側施設の事情は好転しており、近日中にHOZOT細胞の供与が確約されているため、本来通りNK細胞に代わりHOZOT細胞を用いて実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた、HOZOT細胞を用いた実験は現在中断しており、そのため当初の研究達成目標は大幅に送れている。しかし、HOZOT細胞供与側施設の事情は好転しており、近日中にHOZOT細胞の供与が確約されているため、本来通りNK細胞に代わりHOZOT細胞を用いて実験を行う予定である。 また、Tc-99mやF-18などIn-111以外の核種による標識法の確立には至っていない。よって、PET用腫瘍イメージング製剤の開発はまだ実現していない。
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今後の研究の推進方策 |
HOZOT細胞の供与については当該機関から確約されており、供与され次第速やかに当初の計画通りに実験を進める。 まず、In-111- HOZOT細胞のバイオディストリビューションを決定する。即ち、In-111- HOZOT細胞を通常のヌードマウスに尾静脈より静注、一定時間の後、そのマウスを解剖、各臓器別に放射能カウントと重量を測定し、In-111-HOZOT細胞の体内分布を決定する。一方、ヌードマウスにがんを移植し坦癌動物を作成する。その際、がんの種類によるIn-111-HOZOT細胞の分布の違いを比較するため数種のがんを移植し比較することとする。それら担癌ヌードマウスにIn-111-HOZOT細胞を尾静脈より静注し、一定時間の後マウスを解剖、各臓器及び移植したがん組織に対する放射能カウントと重量を測定し、In-111-HOZOT細胞の体内及びがん組織への分布を決定しておく。同時に各がん種による相違点についても検討する。また、各臓器及び移植したがん組織別に病理切片を作成し、In-111-HOZOT細胞の分布をCCDカメラ付透過型光学顕微鏡で撮像、同時にオートラジオグラフィーも施行する。 更に、上記と同様の措置をした通常のヌードマウス及び担癌ヌードマウスそれぞれにつき、動物用SPECT-CT装置にて撮像し、がんに特異的にIn-111-HOZOT細胞が集積しているのか画像解析し、前記のバイオディストリビューションの結果と相違ないか確認する。 また、標識HOZOT細胞のがん治療への応用も目指す。即ち、平成24年度と同様HOZOT細胞の分子生物学的標識を行うが、その際I-123-FIAUに代わり、細胞殺傷能力の高いβ線放出核種を含むI-131-FIAUを用いて、平成24年度における方法と同様にして、担癌ヌードマウス内のがんに対する治療効果について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度ではHOZOT細胞の供与が遅れ、当初予定していた通りに試薬や培養細胞の購入費が余ってしまったが、平成25年度では速やかにHOZOT細胞を用いた実験を行い、また、新標識法について確立し、実験の遅れを取り戻すこととする。 更に、平成25年度では動物実験が主となるため、試薬類の購入費用以外に、動物の購入費用や飼育費用が多くを占める可能性がある。また、動物実験を一人で行うのは煩雑であるため、実験の進行状況によっては実験補助員等の活用も考慮する必要が生じるであろう。そのため、人件費や謝金などの支出が高まる可能性もある。
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