研究課題
アルファ線放出核種であるラジウム223(半減期11日)が、骨転移を有する進行した前立腺がんの治療薬として、2013年に米国、欧州で承認され、臨床応用が始まった。本研究では、ラジウム223以外の他のアルファ線核種の有用性とその利用推進策について、外国の実情を調査し、欧米と比較検討した。いくつかのアルファ線放出候補核種のうち、アスタチン211は物理的半減期7時間という適当な半減期を有し、大型加速器で製造できること、77keVと92keVの2本のガンマ線を放出しその体内分布を画像化できること等により、臨床応用が期待される。わが国における法的規制を考えるため、これまでの放射性同位元素内用療法に関する厚労省通知等にならい、アスタチン211治療によって一般人、家族が受ける被ばく線量を求めた。患者の最大投与量をこれまでの外国でのデータから347MBqとし、わが国で年間最大5千人がアスタチンを用いた治療を受け、患者に投与した放射能量の全てが河川に流出すると仮定した場合、一般公衆への内部被ばく線量は、年間1.44マイクロシーベルトと計算される。また患者の体内残留放射線量からの外部被ばく線量は,全て体内に残存し、物理的半減期によってのみ減少するとの仮定でも、1MBq当たり0.094マイクロシーベルトで、患者家族、一般公衆等への影響は、極めて少ない。わが国の現行の法規制上も公衆への安全が担保され、研究・臨床に供することが出来る。原子炉の医学利用が困難なわが国においては、大型加速器を使ったアルファ線核種の大量製造技術の確立、規制緩和による利用推進、研究施設への配布が、今後の研究の発展に欠かせない。
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