研究課題/領域番号 |
24659581
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鈴木 保之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60344595)
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研究分担者 |
大徳 和之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50374822)
青木 哉志 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (40466511)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工筋肉 |
研究概要 |
心不全の患者に対して広背筋をプレコンディショニングし心臓周囲に巻き付け、体外より電気刺激を与えて心臓を補助する方法がある。重症心不全の患者での短期間の心機能補助効果は良好で、心不全の改善を認めた。心臓の外側を骨格筋で包み込むことで補助し得ることを示したが、広背筋は骨格筋であり長期補助を行うと、筋肉疲労が生じて有効な補助を得られなくなるという問題があった。この広背筋の代わりに人工筋肉を使用することで広背筋を使用したのと同等の心補助効果を得るとともに筋肉疲労の問題を解決できる可能性がある。また、現在開発されている植え込み型人工心臓は抗凝固療法が必要であるが、このタイプの補助デバイスであれば、直接血液と触れることはなく抗凝固療法の必要がない。 このコンセプトのもとゴム人工筋肉を使用した心臓補助デバイスを作製することをこの研究の目的とした。今年度は人工ゴム筋肉の動作、発生する力が心臓補助に適しているかをシミュレーション回路で確認した。シミュレーション回路には6×8cmのソフトバッグがあり、これを4本の人工ゴム筋肉で圧迫するデバイスを作製した。人工ゴム筋肉を圧縮空気7atmで駆動させ、ソフトバックを圧迫し拍出量、ソフトバック内の圧力、拍出先のチューブ内の圧力を測定した。人工ゴム筋肉の動作は圧縮空気の入れだしを電磁弁の開閉で行い、この弁の開閉をコントローラーで制御し、人工ゴム筋肉の収縮回数を1分間50回~90回、収縮:弛緩の割合を1:1、2:3、3:2の割合に変化させ測定を行った。発生する圧力は115~170mmHg(ソフトバック内)、110~150mmHg(拍出先チューブ内)、拍出量は100~600ml/分であった。シミュレーション回路での人工ゴム筋肉の動作、発生力は満足いく結果であり、動物を使用して実際の心臓に巻き付けデバイスを作製する上の初期段階として有用な結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は人工ゴム筋肉の動作、発生する力が心臓補助に適しているかをシミュレーション回路で確認した。測定結果は心臓の補助効果を充分有しており、現在動物心不全モデルでの実験を計画中である。実際の心臓に装着するデバイスの作製、動物実験のプロトコールを作成中で、実際の実験で必要な薬剤、消耗品などを調達中である。 実験の準備が整い次第、動物心不全モデルで人工ゴム筋肉の短期間心補助効果について実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、動物実験において心不全モデルに対して作製した人工ゴム筋肉心補助でバイスの短期補助効果を確認する予定である。シミュレーション回路での人工ゴム筋肉の動作は満足いくものであったが、実際の心臓に装着した場合の効果については今年度足底予定である。実際の動物での動作を確認した際、デバイスの形状が心臓にフィットしない可能性も有り、その際にはデバイスの形状変更が必要となる。また、心臓表面と人工ゴム筋肉補助デバイスの接触面での心筋への物理的な損傷がどの程度になるかは、実際デバイスを駆動させてみないと判断できない。また、動物自身の心臓の動きに併せて人工ゴム筋肉補助デバイスを駆動させることを目的としているが、現在のデバイスのコントローラーで動物の心臓の動きにデバイスが同期可能かも判定しなければならない。 まず、動物心不全モデルで人工ゴム筋肉補助デバイスの短期補助効果の実験を行い上記の事象を確認する。充分な心補助効果が得られ、心臓表面へのダメージが許容範囲でデバイスの動作が実際の心臓に同期可能あれば、長期補助が可能かについての実験を計画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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