研究課題/領域番号 |
24659581
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鈴木 保之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60344595)
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研究分担者 |
大徳 和之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50374822)
青木 哉志 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (40466511)
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キーワード | 人工筋肉 / 高頻度刺激心不全モデル / 外部圧迫型心補助装置 |
研究概要 |
心不全に陥った心臓に対して人工筋肉による外部圧迫型の心補助装置の開発を行なってきた。前年度、シミュレーション回路を用いて、4本の人工筋肉を使用した心補助装置デバイスを作成し、補助装置の動作について確認した。人工ゴム筋肉の動作は圧縮空気の入れだしを電磁弁の開閉で行い、この弁の開閉をコントローラーで制御し、人工ゴム筋肉の収縮回数を1分間50回~90回、収縮:弛緩の割合を1:1、2:3、3:2の割合に変化させ測定を行った。発生する圧力は115~170mmHg(ソフトバック内)、110~150mmHg(拍出先チューブ内)、拍出量は100~600ml/分であった。シミュレーション回路での人工ゴム筋肉の動作、発生力は満足いく結果であり、実際の心臓に巻き付けるためのデバイス作成の可能性を示した。 まず、豚を用いた動物実験で、心臓に装着可能なデバイスを作成し実際の心臓に装着しその補助効果を確認した。初期の動物実験でもデバイスの良好な補助効果が示されたが、良好な補助を得るために、また心不全モデルについて解決し無ければならない問題点も浮上した。まず、心補助を行なう心不全モデルは心筋のグローバルな機能低下が必要である。このモデル作成のため、ペースメーカーによる高頻度刺激を用いた心不全作成を行なった。良好な補助を得るためにはデバイスの心臓への良好なフィッティングと自己心拍に追従したデバイスの動作が重要である。良好なフィッティングのためにデバイスの人工筋肉の長さの調節を行った。また心拍に同期させるためにペースメーカーを用い心房波をセンシングしこれに応じてデバイスを収縮させ心拍に同期させることが可能になった。現在、心不全モデルの作成を行ないつつ、心補助デバイスの補助効果を実験中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工ゴム筋肉の動作、発生する力に関してはシミュレーション回路での確認後、豚を用いた動物実験でも良好な補助効果が得られる可能性が得られている。高頻度刺激によるグローバルに心機能が低下した心不全モデルも作成できるようになり、人工筋肉で作成した心補助デバイスも心臓にフィットするように調節がなされた。心拍への同期もペースメーカーを使用することで可能となり、現在心不全の作成とこれに対する人工ゴム筋肉の心補助デバイスの効果について動物実験を重ねている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、心不全モデルの作成と人工ゴム筋肉の心補助デバイスの効果について動物実験を重ねている最中であるが、5例の心不全モデルの実験を予定している。コントロール群の作成も行なった後、人工ゴム筋肉の心補助デバイスの効果が有意なものであるかどうかを判定する予定である。現在のデバイスのフィッティングはゴム筋肉の長さを変えることでかなり向上したが、更なる改良も必要である。また、デバイスの収縮力、収縮スピードは自由に変更可能でありどのくらいの力で収縮スピードがどのくらい必要かなど、検討する必要がある。また、長期補助を行なうためにはデバイスが心表面に与える影響や圧縮空気を送るコンプレッサーの小型化、デバイスそのものの小型化等も検討が必要である。
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