研究課題/領域番号 |
24659585
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
上里 忠良 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40115465)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 侵入 / CD81 / CLDN1 / OCLN / SRBI |
研究概要 |
まず、マウスCd81蛋白質、Ocln蛋白質がHCVの肝細胞へのエントリーを阻害するかどうかを検討するために、マウスCd81発現ベクター、マウスOcln発現ベクターとヒトNPC1L1 ノックダウンベクターをHuh7.5.1細胞に遺伝子導入し、永久細胞株を樹立した。これらの細胞にHCVppを感染させてエントリーを測定した結果、マウスCd81蛋白質は30%の阻害、マウスOcln蛋白質は20%の阻害、NPC1L1蛋白質のノックダウンでは50%のウイルスのエントリー阻害が観察された。この結果は、マウスCd81蛋白質とマウスOcln蛋白質がヒトCD81蛋白質やヒトOCLN蛋白質に競合阻害的に働いていることを示唆している。また、NPC1L1蛋白質をノックダウンさせるとウイルスのエントリーが激減することから、ウイルスのエントリーに促進的に働いていることが示された。今、細胞レベルの結果から、Alb-CD81?Alb-CD81;Alb-OCLN/Alb-OCLN;Alb-SRBI/Alb-SRBI;Alb-CLDN1/Alb-CLDN1;Cd81-/-;Ocln-/-マウスを作製し、細胞レベルでの実験結果が個体レベルでもおこるかどうかを検証する準備をしている。 またヒトCD81 cDNAとヒトOCLN cDNAをアルブミン遺伝子座位にノックインし、ヒトCLDN1 cDNAとヒトSRBI cDNAを他のアルブミン遺伝子座位にノックインさせるためのtargeting vectorを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスCd81蛋白質やマウスOcln蛋白質がウイルスのエントリーを阻害したことは、前回報告した我々の論文(Biomed Res 2011) に一致したデータである。また、ヒトNPC1L1蛋白質がウイルスのエントリーに促進的に働くことも追試できた。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトHuh7.5.1細胞にマウスCd81蛋白質を発現させた永久株、マウスOcln蛋白質を発現させた永久株があるので、マウスCd81に対する抗体で免疫沈降をおこない、結合物をウエスタンブロット法で検出することで,マウスCd81蛋白質がヒトのどの蛋白質を阻害しているかを明らかにする。同じことをOcln蛋白質に対する抗体を用いて行う。 ヒトCD81/ヒトOCLNノックインマウスとヒトCLDN1/ヒトSRBIノックインマウスを作成する。両者を交配し、ヒト4因子が過剰に発現したマウスを得る。このマウスに患者血清からのC型肝炎ウイルスを投与して、感染がおこるかどうかを判定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2回の学会参加の旅費以外は、消耗品に使用する。
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