研究概要 |
C型肝炎ウイルス (HCV) がヒト肝細胞に感染し、マウス肝細胞に感染しないのは、ヒト肝細胞に特有のHCV受容体があるためと考えられている。その候補は、CD81, SRB1, CLDN1, OCLNの4因子が想定されている。このうち、CD81とOCLNはヒト蛋白質でなければならないという論文報告がある。我々は、ヒトの4蛋白質を肝細胞に発現するトランスジェノックマウスを作製したが、HCVは感染できなかった。まず、マウス肝細胞へはHCVが侵入できない理由として、マウスCd81, マウスOclnが共存していることが、ヒトCD81やヒトOCLN蛋白質の機能を阻害している仮説を検証した。その結果、マウスの相当蛋白質が共存しているために、ヒト4因子が発現したマウス肝細胞にHCVが感染できないのではないということが判明した。そこで、ヒト4因子の過剰発現がマウス肝細胞に感染するには必要であるという仮説の元に、肝細胞で最も強力なプロモーターであるアルブミン遺伝子内にCD81/OCLNをノックインし、もう一方のアルブミン遺伝子内にCLDN1/SRB1をノックインするtargeting vectorを作製し、ES細胞で相同的組換えしたES細胞を得た。CD81/OCLNノックインマウスは3系統、CLDN1/SRB1ノックインマウスは1系統のキメラマウスを得た。現在、キメラマウスと野生型マウスを交配し、ヘテロマウスを作製中である。
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