研究課題
【研究の目的】本研究では、マウス下肢虚血モデルを用いて、メトフォルミン投与が虚血組織における血管新生作用に影響を及ぼすか否かを検討すること。【研究の方法】野生型マウス(N=20)とeNOS遺伝子欠損マウス(N=10)を、各々メトフォルミン投与群(強制経口投与,150 or 300mg/kg/day)と非投与群に分類した。メトフォルミン投与開始翌日に、マウス片側下肢虚血モデルを作製した。モデル作製後も引き続き、メトフォルミン投与を28日間連続して行った。【結果】メトフォルミン投与は、体重、血糖値、インスリン値のいずれも影響を与えなかった。野生型マウスのメトフォルミン投与群では、術後28日目に虚血肢/健肢血流比が非投与群と比較して有意に改善した。虚血肢の毛細血管密度と細動脈密度に関しても、メトフォルミン投与群の方が有意に高い結果であった。また、術後7日目のメトフォルミン投与群の虚血筋肉組織において、AMPKとeNOSのリン酸化の増強が確認された。一方eNOS遺伝子欠損マウスでは、虚血肢/健肢血流比は両群間で有意差を認めなかった。虚血肢の毛細血管密度)と細動脈密度に関しても、両群間で差は認めなかった。すなわち、eNOS遺伝子欠損マウスにおいては、メトフォルミン投与による下肢虚血後の血管新生促進作用は認めなかった。一方、AMPKのリン酸化に関しては、メトフォルミン投与群の方が非投与群と比べて有意に増強していた。【結論】メトフォルミン投与により、野生型マウス下肢虚血モデルにおける虚血肢の血流は改善した。その機序としては、AMPK/eNOS依存経路の活性化により、血管新生効果が増強されることが考えられた。本研究により、メトフォルミンはその血糖降下作用に加えて、虚血組織における血管新生促進作用を有しており、虚血性動脈疾患の病態を改善する効果が期待されることが示唆された。
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