研究課題
移植後の長期成績を妨げる慢性抗体関連型拒絶反応を制御するために、新しいアッセイとして末梢血B細胞から形質細胞まで分化誘導するin vitro培養システムの樹立をめざした。3ステップ法により成熟B細胞→活性化B細胞→形質芽細胞→形質細胞までの分化を詳細に解析することで、各種免疫抑制剤の作用部位の違いを明らかにした。代謝拮抗薬は、分化早期の段階で細胞増殖を抑制し、mTOR阻害薬は中期の段階で増殖と分化を抑制し、ステロイド(高用量のみ)は後期で分化を抑制した。効率的にIgGを分泌し、より簡便なアッセイに向けて改良を試みた。BAFF、APRILは、ともにB細胞の分化増殖促進作用があるが、APRILのみ培養上清にIgG産生を増加する。多くはナイーブB細胞から分化して形質細胞の生存維持に重要な役割を果たすが、メモリーB細胞に対する作用は弱い事が判明した。末梢血単核球(PBMC)をマイトジェンで刺激し、分泌されたサイトカインを含む培養上清(Sup)を利用することで、著しい形質細胞数の増加とIgG産生量を認めた。TLR9のアゴニストであるCpGODNは、ナイーブB細胞のクラススイッチを促進するが、メモリーB細胞には作用しなかった。メモリーB細胞を効率的に分化させる方法として間葉系幹細胞(MSC)との共培養による促進効果を確認した。以上の結果より、臨床検体(末梢血B細胞)を解析する方法を以下のように決定した。まず、細胞数を増加させるため、APRIL+IL-21+CD40L+Supで3日培養し、その後以下の2つの方法で解析する。(A)分泌型抗体を検出するために、IL-21+CD40L+Sup+ MSCで10日培養、(B)膜型抗体を検出するために、IL-21+BAFF, CD40L発現Feeder 細胞上で7日培養、それぞれ、培養上清中、細胞膜のIgG, IgMを解析する方針とした。
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