研究課題
二光子励起顕微鏡を用いた大腸の生体内リアルタイムイメージングは大腸の創外脱転と固定が必要であり、遠位側大腸が炎症の主座となることが多い2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸誘発性大腸炎(TNBS colitis)は我々の実験系では観察困難であることが分かった。したがって炎症性腸疾患モデルとしてデキストラン硫酸ナトリウム誘発性大腸炎(DSS colitis)を用い消化管全層解析は創外脱転と固定が容易な盲腸を用い解析を行った。Green Fluorescent Protein (GFP)発現マウスDSS colitisの盲腸壁を二光子励起顕微鏡下生体内イメージングすると、陰窩上皮細胞の脱落と炎症細胞浸潤が主に観察できる。Infliximab (IFX)投与群ではコントロール群よりDSS投与後14日目(IFX投与後7日目)の粘膜固有層及び陰窩内に浸潤炎症細胞数は減少していた(42.4 versus 32/単位面積)。陰窩上皮細胞に関しては、管腔側で一部脱落欠損するものや陰窩内上皮細胞が全欠損するものが観察できた。IFX投与により陰窩長は96.9マイクロメーターから147.1マイクロメーター(IFX投与後7日目)と再生が確認できたが、陰窩底部から管腔側に向かう再生上皮の継時的変化は観察できなかった。IFXの作用機序を形態学的に解析するため、DSS colitisの極期(DSS投与後7-10日目)にマウスTNFαに対する抗TNFα抗体を蛍光標識し投与した。蛍光標識抗TNFα抗体は粘膜固有層、粘膜下層に集積し遊離型TNFαと結合し中和していると考えられた。また盲腸の後毛細管細静脈内皮に接着している白血球表面にも蛍光標識抗TNFα抗体の結合が観察され、TNFα産生細胞の膜結合型TNFαと結合しその産生を阻害していると考えられた。
すべて 2013
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