研究課題
前回までに、Lewラットを用いて、有茎空腸内に肝細胞を移植すると長期に渡って生着することがIVISで確認できたことを報告した。また、遊離空腸を門脈、下大静脈間に間置する形で移植したところ、長期に生着することをIVISで確認できた。これらから、成熟自己肝細胞は小腸壁内に生着可能であることが示された。それを受け、今回大動物モデルとしてブタを用いて、同様の実験を行なった。有茎空腸内への移植については、ラットと同様に粘膜除去し細胞移植を行なった場合は再現できなかった。しかしながら、粘膜はそのままとし、粘膜下に移植した場合は生着が確認された。その結果は肝切除を並施した場合に、より著明となる傾向があった。遊離空腸については、ラットと異なり大動物においては、正常門脈圧下では、十分な灌流が得られなかった。今後、腸管に移植した生着細胞の増殖についてのどのような条件が望ましいのか、間葉系幹細胞などの共移植が効果的なのかを検証予定である。また遊離空腸については肝硬変モデルを念頭に、門脈圧亢進状態が血流維持に寄与しないか、を検討する。また必要な腸管の長さについても検討する必要があると考えている。それでも、血流が得られなかった場合は、脱細胞化した、肝臓、肺、小腸ないしは腎臓が足場として検討する対象となると考えている。脱細胞化についてはTriton-Xを用いて、本研究とは別に経験を蓄積しており、至適条件を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
肝切除により細胞増殖が増強されることが判明し、今後の発展につながると考えている。
肝細胞増殖効率の更なる向上、シャント作成臓器の改善を目指して検討をすすめる。
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