研究課題/領域番号 |
24659591
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50231618)
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研究分担者 |
谷水 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00333386)
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20407141)
市戸 義久 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80452978)
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キーワード | 小型肝細胞 / 胆管上皮細胞 / デバイス / シリコーン / 細胞外基質 / 毛細胆管 / 血管内皮細胞 / 人工肝臓 |
研究概要 |
平成25年度は、シリコーン樹脂を用いて、2種類のデバイスを作成した。①60-mm培養皿内に接着させられる6流路を持つデバイス。②マイクロ流体デバイス。①は、流路にラミニンや4型コラーゲン、コラーゲンゲル等を独立して塗布し、中央に播種した小型肝細胞に対する増殖・分化誘導の検討と流路に胆管上皮細胞を播種し、肝細胞の形成する毛細胆管と胆管細胞を結合させる方法の検討を行うことも目的とした。計画と異なり、流路内に限定して細胞外基質を塗布することが難しく、またコラーゲンゾルを一様にゲル化させる方法の開発に難渋したため、計画通りに進まなかった。②は、肝細胞と内皮細胞の共培養により、肝組織と血管の融合した組織の形成を目的に行った。2チャンネル型のデバイスでは肝組織と血管の融合が上手くできなかった。そこで3チャンネル型のデバイスを用いて、3つのマイクロ流路のうちの一つで肝細胞を培養し、間質流のもとで1日間培養した後に、中央の流路で血管内皮細胞を培養した。血管内皮細胞は肝細胞との間にあるコラーゲンゲルばかりではなく、反対側のコラーゲンゲル内にも潜り込み、血管スプラウトを形成した。このスプラウトは毛細血管様構造を形成することがわかった。 肝組織を再構築するためには、肝細胞が分泌する胆汁の流路である胆管を伴った組織を作る必要がある。新生仔と成体の胆管上皮細胞の機能を比較したところ、新生仔の細胞は上皮細胞としての分化度が低いことが明らかになった。胆管の管腔サイズ調節に重要な働きをする転写因子Grhl2の発現が、新生仔の細胞では、肝細胞への分化に伴い抑制されていたのに対して、成体の細胞ではGrhl2の発現が高く維持されていた。それらの結果から、Grhl2は上皮細胞の構造的な成熟化を促進するだけでなく、分化の方向性を制限する役割も担っていることが明らかになった。
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