研究課題
これまでの研究において我々は膵癌細胞株SU86.86.およびBxPCからSP(side population)法より細胞を分離し、SP細胞は各種幹細胞遺伝子の過剰発現と高度の造腫瘍能を有しており幹細胞の形質を有していることを証明した。一方で我々は同じくSP法により分離した大腸癌幹細胞より、がん幹細胞に特異的に発現する遺伝子であるOR7C1を同定していたOR7C1は正常組織では嗅球以外に発現を認めず、かつ癌細胞において過剰な発現を認めることから新しい癌幹細胞特異的抗原の候補となると考え、これを膵癌にも応用することを計画した。まず3種類の膵癌細胞株SU86.86.、HIP、Panc1に対し無血清培地による3次元培養を行い幹細胞性の濃縮された細胞塊(tumorsphere)を回収しPCR法で遺伝子発現につき解析したところ、tumorsphereでは血清存在下の通常培養と比較し幹細胞遺伝子とともにOR7C1の高い発現を認め癌幹細胞ではOR7C1が過剰に発現していることが確認された。また同様にウェスタンブロットも行い、3次元培養細胞群において高いOR7C1のタンパク発現も確認され、OR7C1の幹細胞性への関連が示唆された。次に抗OR7C1抗体を用い、フローサイトメトリーによりOR7C1過剰発現細胞を分離し遺伝子発現および造腫瘍能についての解析を試みたが分離後の細胞生存率が不良であり培養が進まず以降の解析を行うことができなかった。細胞株を変えても同様となり、原因として手技的な問題のほかOR7C1交代により細胞死が誘導されてしまった可能性も考えられた。結果として上記事由につきその後の研究が遅れ、OR7C1特異的に反応するCTLの誘導の段階へは達成できなかった。最後に、OR7C1は大腸癌おいては癌幹細胞ともいえる細胞集団に特に強く発現しており、遺伝子発現の多寡により造腫瘍能および薬剤耐性に差を認めることは確認できており、幹細胞性の関与について今後も研究を継続する方針である。
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