研究課題
日本における最新のがん統計によると、がん罹患者は35年前の4倍になっており、その中で、肝臓がんは2012年のがんによる死亡数が多い部位の第5位となっている。肝細胞癌(HCC)原因遺伝子が多様であり、HCCを体系的に理解し治療へ結びつけるためには、エピジェネティック修飾に基づく発癌の理解が重要である。昨年度の解析で樹立した細胞についてリプログラミングが充分に確認できなかったことから、既存のヒト肝癌細胞株には数多くの染色体異常が報告されており、リプログラミング因子を導入後のリプログラミングに必要な因子を欠損しているか、未分化状態を維持する遺伝子が欠損している可能性が考えられた。そこで、ヒト肝癌細胞株と共に正常細胞としてヒト線維芽細胞および臍帯由来内皮細胞を用いてiPS細胞の作成を平行して実施した。昨年度より多くの肝癌細胞株を用い、HNF4の発現低下や未分化マーカーの発現上昇が観察された。しかし、線維芽細胞や臍帯由来内皮細胞を用いて作成したiPS細胞と較べると発現が低く、完全なリプログラミングは観察されなかった。一方、線維芽細胞や臍帯由来内皮細胞より樹立したiPS細胞についてはこれら細胞を用いて肝臓系列細胞へ分化誘導し、肝分化マーカー遺伝子の発現解析およびアルブミン分泌をタンパク質レベルで検出し、実験系に問題が無いことが確認された。以上の事から、より多くの肝細胞癌を対象とした研究を実施することが必要であると考えられる。また、肝癌だけでなく、遺伝子変異が明らかとなっている、膵癌や肺癌を対象とすることで、癌化にかかわるエピジェネティック修飾を明らかにする事が可能となると考えられた。
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