研究概要 |
本研究目的はmiRNAを用いたiPSCのリプログラミングを利用した心筋細胞への分化誘導である。そこでリプログラミングに重要なmiRNAの選択とその機構解明を一部試みている。 現在、既に報告されているiPSCのリプログラミングに関連したmiRNAとしてmiR-302a, -302b, -302c, -302d, -367が挙げられている。これらを利用したiPSCへの分化誘導は既に報告されており、まずはこれらのmiRNAを用いたiPSCへの分化誘導系の構築を試みた。そこでこれらの強制発現させるレトロウィルスベクターを作製し、発現量の確認、内在性遺伝子の発現変化を確認した。この結果、miRNAのみ導入した細胞のiPSCへの誘導は確認されなかった。一方でmiRNAと山中4因子(OCT4, KLF4, SOX2, c-MYC)を導入することでiPSCへの誘導効率が増加することも明らかとなった。この結果から、miRNAを導入した細胞の発現量を検討したところ、発現を確認できたものの、その発現量が低いことも明らかとなった。これらのことからmiRNA単独でiPSCへの誘導に適当な発現量は得られない可能性が高い。そこで、今後はこれらの発現系について再度検討し、miRNAのmimicを直接トランスフェクションによって導入することも検討していく。 また、これらの系の構築と共にiPSC過程における心筋細胞への分化誘導も試みているが再現性が低いため、安定した誘導系の確立も検討課題である。
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