研究概要 |
1. 胃癌患者の腹水、腹腔洗浄液を回収し、細胞を白血球マーカーCD45,癌細胞に特異的なマーカーCD326に対するモノクローナル抗体で染色し、FACSを用いて、その個数を算定し、腹腔内遊離癌細胞の相対的頻度をCD326(+) 細胞/ CD45(+) 細胞の比率(tumor cell/leukocyte ratio:TLR)にてとして測定した。手術時の検体では、腹膜播種を有する38症例のTLRは腹膜播種のない場合(28例)と比べて有意に高値であった。(中央値=4.85 (0-751.37) vs 0 (0-2.14), p<0.001)。また、腹腔内化学療法を施行した患者においては、TLRは化学療法後で全例低下し、その変化は洗浄細胞診の結果よりも明らかの鋭敏であった。 2. 胃癌患者の腹水、腹腔洗浄液中の細胞中のCD14(+)細胞は、末梢血中のCD14(+)monocyteと比べ明らかに大型で、Arginase, CD206,CD163などのM2 macrophageの抗原に加えて、collagen1を強く発現していた1~2週間の培養で繊維芽細胞状に形態変化し、vimentin,alpha-SMAなどの間葉系マーカーを発現するようになった。 3. 胃癌患者の腹水、腹腔洗浄液中の細胞から、MACSを用いてCD326(+)癌細胞分画を分離し、培養すると、1~2週間で繊維芽細胞状に形態変化し、CD326は消失したがcytokeratinは変化なく、間葉系マーカーのCD90が発現していた。この経過はCD14(+)マクロファージを除去すると認められなくなった。
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