研究課題
C型肝炎ウイルス(HCV) は感染すると慢性肝炎となり、肝硬変、肝癌を高頻度におこす厄介な病原体である。しかし、モデル小動物がないため、HCVの感染過程、複製過程、粒子形成過程について多々わかっていないこtがある。今回、HCVの複製について研究する。そのために、Pol I promotor-HCV genome cDNA-Pol I terminatorをマウス受精卵に微小注射して、トランスジェニックマウスを作成し、15種得た。マウス尻尾から抽出したDNAを用いたサザンブロット解析した。X線フィルムに出たシグナルによりコピー数の多い方から、A系統、B系統、ーーと名前を付けた。すべての系統を維持することは不可能なので、コピー数の多い系統を実験に使用した。マウス肝細胞の抽出液をウエスタンブロットすると、HCV Core蛋白質が検出された。また、肝細胞からRNAを抽出し、HCV RNAを測定してみると1,000,000 copy/liverぐらい検出できた。血液の採取は眼の内側の静脈叢から行った。血液中のHCV RNAをqRT-PCR 法で測定すると、A系統が最大で、次にB系統というように、大体ゲノムコピー数に比例関係があった。血液を蔗糖密度勾配遠心にて分画するとHCVの密度の分画にRNAが検出された。今後、血液中のウイルスが感染性をもつかどうかを検定する予定である。また、E1/E2蛋白質が感染に関与していることは抗E2抗体や抗CD81抗体を用いて、証明する予定である。さらに、ウイルス粒子を形成している証明は電子顕微鏡で行う。
2: おおむね順調に進展している
コンディショナルHCV genomeトランスジェニックマウスの作成に成功した。数十コピー/パプロイドから数コピー/ハプロイドまで多様なトランスジェニックマウスが得られた。マウス血液中にウイルス様の物質が存在しており、その特徴を明らかにすれば慢性肝炎の解明に役立つと思われる。
今後、血液中のウイルス様物質が感染性をもつかどうかを検定する予定である。また、E1/E2蛋白質が感染に関与していることは抗E2抗体や抗CD81抗体を用いて、証明する予定である。さらに、ウイルス粒子を形成している証明は電子顕微鏡で行う。マウス肝細胞で作られたgenome RNAが」複製をするか否かを決定するために、RNase protection法を用いる。具体的には、HCV genome cDNAの鋳型からP32ラベルしたsense RNAをT7 polymeraseを用いて作成する。これと肝細胞からのRNAをhybridizeさせた後、RNaseによる消化を行い、保護されたラベルRNAを電気泳動にて検出する。複製が観察された場合、マウス肝臓でも複製は可能ということが判明する。複製が観察されなかった場合、マウス肝臓になくて、ヒト肝臓にある複製因子をクローニングする。さらに、Pol I promoter-HCV genome cDNA-Pol I terminatorを微小注射してトランスジェニックマウスを作成する予定である。これらのマウスの肝臓切片を作成し、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌へと移行する病理像を観察する。
1回学会に参加するための国内旅費以外は、すべて消耗品に使用する。
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