研究課題/領域番号 |
24659609
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田代 裕尊 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (90359894)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 吸収性胆管ステント / 胆管狭窄 |
研究概要 |
胆道外科(胆管再建)における吸収性胆管ステントの有用性を検討するため、豚吻合胆管に吸収性胆管ステントの埋没実験を行い検討した。吸収性胆管ステントは、乳酸―カプロラクトン共重合体を管状に加工し作成した。この吸収性胆管ステントでは、X-RayやCTによる画像的な検出は不可能であり、そのためいつ胆管ステントが吸収されるのかなどの確定的な結果は得られていない。そこで本実験ではX線透視可能な硫酸バリウム含有の吸収性ステントを共同開発し、豚胆管に埋没し硫酸バリウム含有吸収性ステントの胆管内動態を、血液生化学的・病理検査およびCTにより経時的に観察し、術後胆汁ろうや胆管狭窄に対する有用性を検討した。現在まで、2種類の吸収性胆管ステントを作製した。すなわち吸収性ステントは乳酸―カプロラクトン共重合体からなり、乳酸の組成比が高くなれば吸収過程が遅延することが知られており、現在乳酸含有率約70%と50%の組成比からなるステントを作製した。まず、乳酸を70%含有するステントでは、約4ヶ月までCTでステントの形状を保持し、約6ヶ月後にはステントが吸収されることが明らかになった(n=3)。また術後の肝機能では、軽度トランスアミナーゼの上昇は認めたものの、T-Bilの上昇は認めなかった。一方、乳酸を50%含有する吸収ステントでは、約3ヶ月でCT上検出されず、3ヶ月以内に吸収されていた(n=2)。現在、この2種類のバリウム含有吸収性ステントは、CTで形状を確認でき、胆管ステントの開存性も良好であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度では、硫酸バリウム含有吸収性ステントの作製と豚胆管に埋没したバリウム含有吸収性胆管ステントをCTにてを検出できることを確認した。現在、さらに乳酸含有量を変えたステントを作製し、その吸収性の違いを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
25年度では、現在の豚埋没実験を継続させ、その再現性を確認する予定である。また、胆管狭窄モデルを作製し、吸収性ステントの有効性を同様に豚埋没実験で確認を行っていく予定である。胆管吻合部狭窄モデルは、胆管を全周に渡り約2cm遊離し(血流障害を誘導する)、その全周性に剥離された胆管を中ほどで完全に切断する。切断された胆管を6-0PDS針で結節縫合(端々吻合)し胆管・胆管吻合再建モデルとする。この胆管・胆管吻合の際に、吸収性の胆管ステント(6~8mm径)を内腔に挿入し6-0PDSで固定する。)。術後、1ヶ月ごとにCT検査と肝機能検査を行い、さらに術後6または12ヶ月後に、胆管を採取し、縫合部の病理学的検討(胆管壁、実際の胆管上皮肥厚など)、さらに炎症・組織修復の関連蛋白(EGF,TGF-β、コラーゲン、matrix metalloproteinase)の発現を生化学的に蛋白レベルで検討し、吸収性ステントの吸収性と胆管の開存性を検討する。さらに、採取された胆管組織の免疫染色(CK7、19など)を行い吸収性ステントの裏打ちをする胆管上皮細胞の再生過程も研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、豚の購入に500,000また実験試薬に300,000などの予定である。
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