胆道合併症は肝移植のアキレス腱と呼ばれ、肝移植の予後を大きく左右する合併症の一つである。以前肝移植後の胆管合併症(特に胆管狭窄)の予防法の確立として、吸収性ステントを用いた胆管再建の有用性について報告した。しかしながら、この吸収性ステントではX線透過性のため体外からの観察は不可能であった。そこで、今回バリウム含有の吸収性ステントを作製し、その安全性に関して検討した。 方法:バリウム含有吸収性胆管ステントの作製は、まずL-ラクチドと、ε―カプロラクトンとのランダム共重合体より合成し、さらにバリウムをcoatingし作製した。豚モデルは、約20kgの雌豚を、全身麻酔下のもと、開腹し、胆管を切開し、同切開部を6-0PDS針で結節縫合し、吸収性カフを内腔に同PDSで固定し吸収性カフによる胆管再建モデルを作成した。胆管再建豚の術後の肝機能、CTでの撮影、さらに術後6ヶ月後に、胆管を採取し、縫合部の病理学的検を行い、吸収性ステントの安全性を検討した。 結果:実験群はn=11で、術後1か月での豚は黄疸を認めず、T-Bilは正常範囲であり、またトランスアミナーゼも正常範囲内であった、CT検査では胆管ステントは筒状の形態を保ち、確認可能であった。術後6か月後に再建胆管を検討すると、吸収性カフはすでに吸収されカフの遺残を認めず、また胆管は開存していた。また、病理学的にも壁肥厚を認めなかった。 結論:バリウム含有吸収性胆道ステントはCTでの確認が可能であり、肝機能においても良好に経過し、有意な有害事象を認めなかった。
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