研究課題/領域番号 |
24659611
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島田 光生 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
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研究分担者 |
宇都宮 徹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30304801)
森根 裕二 徳島大学, 大学病院, 助教 (60398021)
居村 暁 徳島大学, 大学病院, 助教 (90380021)
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キーワード | 肝不全 / 幹細胞 / homings効果 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
脂肪由来幹細胞の治療効果増強のためのホーミング機序解明と制御 脂肪由来幹細胞(ADRC)は新たな幹細胞資源として期待され、主に標的臓器への分化誘導に関し研究されているが、なぜ傷害された(もしくは再生中の)疾患臓器特異的に集積(homing effect)するのかについてほとんど解明されていない。本研究ではADRCの肝再生・傷害修復過程のhoming effectメカニズムの解明を目指し、ADRCによる細胞療法の効率化を実現する。 脂肪由来幹細胞の肝切除/虚血再灌流モデルにおける肝細胞保護効果・Homing効果: balb/c nu-nuマウスに70%肝切除(Hx)施行後、20分間肝虚血(IR)による致死モデルを作成しheparin併用下にADRC(1.0×105 cells)を経静脈的に投与(コントロール群:heparinのみ)した。術後6・24時間後の肝傷害(AST・ALT・T-Bil)は有意に改善し、術後24時間における残肝再生も有意にADRC投与群で増加した。また術後24時間生存率はcontrol群が23.5%であったのに対し、ADRC群では41.2%と改善傾向を認めた。Homing効果についてADRCの再生肝への強い集積をIVIS®、Neo-Stem®により確認し、Hx+IR群はSham群(開腹のみ)と比較して肝内SDF-1発現(免疫染色)の増強とともに、CXCR4 mRNA発現はSham群、Hx+IR群と比較してHx+IR+ADRC群で有意に上昇していること確認した。さらにSDF-1発現細胞が術後6時間では肝実質細胞と非実質細胞が同等であったが、術後24時間後には非実質細胞に有意にシフトしていた。はこれは肝内にhomingしたADRCが接着因子であるCXCR4を発現するとともに、肝再生過程においてHomingするターゲット細胞に変化が生じることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)幹細胞の肝保護効果をin vivo致死モデルにおいても確認するとともに、傷害肝へのhoming効果も確認した。さらにHoming効果を左右するSDF-1/CXCR4 axisの関与とともに肝再生過程におけるSDF-1発現細胞の変化を同定した。このことは肝再生過程における様々な構成細胞の増殖スピードの違いを反映しており、ADRCは必要に応じて分化形態を変化させていく可能性がある。今後はこれらの遺伝子発現を中心に制御の可能性を検討するとともに、他因子の関与についても包括的遺伝子解析を用いて探索する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策:制御因子増強・阻害によるhoming effectに最も効果的な遺伝子を包括的遺伝子解析により同定する。それらの発現についてvalidityを行うとともに、阻害剤・誘導剤によるhoming効果の影響についても解析を行う。これら一連の検討によりADSCのhoming effect制御機構の解明とともに治療効果向上のためのhoming増強が期待できる。次年度の研究費の使用計画:上記結果に加えて、今後は包括的遺伝子解析を加え、さらなる制御因子の同定とともに、それらの制御の可能性について、さらに検討を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画書作成時点での購入予定物品に金額の変更があったため。 次年度への繰越額は消耗品に使用予定である
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