①ヒト膵星細胞株の樹立- 膵癌患者より得られる手術切除標本を用いて、ヒト膵星細胞株を20株以上作成した。作成された細胞株は、膵星細胞の特徴とされるMyofibroblast様の形態を呈し、免疫染色においてα-SMAが陽性であることを確認した。 ②活性化膵星細胞におけるオートファジー誘導の確認- 膵星細胞でのオートファジー活性を免疫染色およびウエスタンブロットにて確認した。その結果星細胞によってオートファジー活性レベルが異なる事を確認した。また、これまでの報告から各種癌細胞、線維芽細胞でTGF-β、また酸化ストレスによりオートファジーを誘導される事が報告されていた。われわれは飢餓状態ストレス下で星細胞のオートファジーが誘導される事を確認した。 ③膵星細胞と膵癌細胞の共培養による癌細胞浸潤への影響- 膵星細胞と膵癌細胞にて共培養を行ったところ膵癌細胞の浸潤が単独培養と比較し、星細胞との共培養において増強する事を確認した。 ④3MA投与による活性化星細胞抑制の同定- 活性化星細胞にオートファジー抑制剤3MAを投与したところ星細胞の一部に脂肪滴の増加が見られた、即ち星細胞の活性が抑制された事を示唆する事を同定した。 ⑤星細胞、癌細胞共培養における3MA投与の影響の確認- 癌細胞、膵星細胞共培養下に癌細胞浸潤の促進が確認されたが、オートファジー抑制剤3MAの投与で共培養下における膵癌細胞の浸潤が抑制される事を確認した。
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