研究課題/領域番号 |
24659619
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中村 泉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80423804)
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研究分担者 |
大木 進司 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20381361)
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 研究員 (90611749)
竹之下 誠一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10167489)
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キーワード | miRNA / MSI |
研究概要 |
MSIを有する消化器癌ではフレームシフト変異を頻発するが、DICERと複合体を形成するTRBP遺伝子やAGO2遺伝子のフレームシフト変異が報告されている。これはmiRNA成熟プロセスにMSIが関与している事を示しており、結果としてmiRNAの全体的な機能低下、ひいては癌の発生・進展に重要な関与をしているものと考えられる。この変異が実際にmiRNA発現に影響しているかについて検討した。 RNaseIII型の酵素であるDicerと複合体を形成しmiRNA/miRNA*を生成するTRBP遺伝子(TAR RNA-binding protein 2)はexon5に(C)5,(C)7の2つの一塩基繰り返し配列をもつ。その他AGO1遺伝子、AGO2遺伝子、EXPORTIN5遺伝子はそれぞれ、一塩基繰り返し遺伝子を持つ。この4遺伝子について、MSI-H細胞株(HCT116およびLoVo)とMSS細胞株3種、さらには大腸癌臨床サンプル100例(MSI+10症例を含む)を用いて同遺伝子の変異をキャピラリー・シークエンサーを用いたSSCP法にて判定後、MSI-H細胞株とMSS細胞株でのmiRNA発現をリアルタイムPCRを用いて解析した。検討の結果、TRBP(C5),TRBP(C7),AGO1,AGO2それぞれにおいてMSIとmiRNAの発現の間に相関関係を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「仮説-I」 MSI近傍の静的変異による2次構造の変化はprimary-miRNAの切り出しに影響を与えないことを証明した。しかし最近、甲状腺乳頭癌においてKIT遺伝子の3’UTRに存在する遺伝子多型がmiR-146あるいはmiR-222の結合エネルギーを大きく変化させたとの報告もあり、さらに多くのmiRNAについて検討する必要があるかもしれない。 「仮説-II」TRBP遺伝子やAGO2遺伝子等のフレームシフト変異がPre-miRNAの生成に影響を与えるかを検討したが、有意な相関関係は認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は「研究III」について検討を行う予定である。スプライシングを制御するRNA配列5‘および3’スプライス配列、ブランチ部位周辺の配列、エキソン内やイントロン内に存在するスプライシングエンハンサー配列あるいはスプライシングサイレンサー配列(ESE,ISE)(ESS,ISS)近傍のマイクロサテライトをESE finderよりピックアップする。その位置に対応するマイクロサテライトおよびSNPsをBlast、JSNPをもちいて検索し、HCT116およびLoVo等のMSI-H細胞株とMSS細胞株、さらには臨床検体を用いて同遺伝子の変異をキャピラリー・シークエンサーを用いたSSCP法にて判定後、MSI-H細胞株とMSS細胞株でのmiRNA発現をリアルタイムPCRを用いて解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度までの2年間で共同研究者による支出が無かったこと、旅費を使用しなかったことにより50万超の予算が次年度使用額となった。 来年度は、26年度は「研究 –III」について検討を行う予定である。スプライシングを制御するRNA配列5‘および3’スプライス配列、ブランチ部位周辺の配列、エキソン内やイントロン内に存在するスプライシングエンハンサー配列あるいはスプライシングサイレンサー配列(ESE,ISE)(ESS,ISS)近傍のマイクロサテライトをESE finderよりピックアップする。その位置に対応するマイクロサテライトおよびSNPsをBlast、JSNPをもちいて検索しHCT116およびLoVo等のMSI-H細胞株とMSS細胞株、さらには臨床検体を用いて同遺伝子の変異をキャピラリー・シークエンサーを用いたSSCP法にて判定後、MSI-H細胞株とMSS細胞株でのmiRNA発現を解析する予定である。次世代型シーケンサーが導入され使用コストが予想より上昇したためこれに次年度使用額を充当致します。
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