研究課題/領域番号 |
24659625
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 淳 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90188954)
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研究分担者 |
佐野 厚 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (20569834)
村川 知弘 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50359626)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80273358)
松下 博和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80597782)
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キーワード | 肺がん / 膵がん / 次世代シーケンス / 全エクソームシーケンス / 全RNAシーケンス / ミスセンス変異 / 変異ペプチド / 固有抗原 |
研究概要 |
本研究の目的は、個々の肺がんにおける遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と肺がんの個別化がん免疫治療の開発である。次世代シーケンスとMHC class I binding prediction法を用いて、肺がん患者から免疫原性の強い固有抗原の同定を行う。肺がん組織のがん部と非がん部から次世代シーケンサーによりがん特異的なミスセンス変異を同定する。この変異によりつくられる変異ペプチドのアフィニティをImmune Epitope Database and Analysis Resourceを用いて計算し候補となる固有抗原を選出する。 肺がんに先立ち、既に当院でがん組織のがん部と非がん部の両方がセットで入手可能であった膵がん組織計5例PK001~PK005で解析した。まず、全エクソームシーケンスにより、がん部と非がん部のエクソームを比較することで1例あたり平均1028個(719-1673個)の腫瘍特異的変異を同定し、その中でコーディング領域に存在する変異を平均147個(86-299個)同定した。さらに、全RNA シーケンスのデータをもとにRNAの発現が見られるものに絞り、最終的には1例あたりミスセンス変異を平均128個(78-251個)同定した。この変異由来の変異ペプチドのMHC class Iへのアフィニティ(比較的強いと考えられる IC50<500)を指標にして、固有抗原数 (HLA-A2あるいはHLA-A24拘束性のいずれか)を計算したところ、1例あたり平均53個(11-116個)となった。 膵がんに続き、肺がんにおいてもがん部と非がん部が両方そろうものを5例収集しシーケンスを開始した。膵がん組織を用いて構築した固有抗原同定システムをそのまま肺がんにも応用し固有抗原を同定していく。本研究期間内に、将来個別化がん免疫治療を行っていく準備段階としての抗原同定システムを構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵がん組織を用いて構築した固有抗原同定システムをそのまま肺がんにも応用し固有抗原を同定していく道筋を立てることができた。すなわち、本研究期間内に、将来個別化がん免疫治療を行っていく準備段階としての抗原同定システムを構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
肺癌においてさらに次世代シーケンスとMHC class I binding prediction法を用いて、肺がん患者から免疫原性の強い固有抗原の同定を行う。肺がん組織のがん特異的なミスセンス変異を同定し、この変異によりつくられる変異ペプチドのアフィニティをImmune Epitope Database and Analysis Resourceを用いて計算し候補となる固有抗原を選出する。現在肺癌組織を得ることができたため、膵がんと同様の方法で進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
膵がんにおいて次世代シーケンス法による固有抗原同定法を確立したが、肺癌においてはまだすべての採取組織において次世代シーケンス法を施行できなかった。 肺癌においてさらに次世代シーケンスとMHC class I binding prediction法を用いて、肺がん患者から免疫原性の強い固有抗原の同定を行う。肺がん組織のがん特異的なミスセンス変異を同定し、この変異によりつくられる変異ペプチドのアフィニティをImmune Epitope Database and Analysis Resourceを用いて計算し候補となる固有抗原を選出する。研究成果を発表する。
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