• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

肺胞再生サイトカインを産生する細胞シートの開発、および肺気腫に対する治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24659629
研究機関大阪大学

研究代表者

奥村 明之進  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647)

研究分担者 南 正人  大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
井上 匡美  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10379232)
澤端 章好  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招聘教授 (50403184)
中桐 伴行  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70528710)
新谷 康  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90572983)
川村 知裕  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528675)
キーワード肺移植 / 拒絶反応 / 免疫抑制 / IL-6 amplifier / EGF
研究概要

重症臓器不全の治療には、臓器移植置換型治療が最も有効である。しかしながら脳死ドナー数は限られており、脳死体からの臓器移植の機会は未だ数少ない。近年、肺気腫をはじめとする閉塞性換気障害の患者は増加しており、2020年
には全世界の死亡原因の第3位になることが予測されている。したがって慢性呼吸不全に対する新たな治療戦略の構築が必要である。我々は慢性呼吸不全に対する治療手段の可能性の一つとして再生医療に注目してきた。その結果、(1) ラットを用いた左肺全摘モデルにおける代償性肺再生には肝細胞成長因子 HGFが関与していること、(2) ラット肺気腫モデルにおいてHGFの外的補充が肺胞・肺血管の再生をもたらすこと、(3)肺気腫モデルにおいて肺容量減少手術に脂肪組織由来幹細胞を投与することで肺胞が再生すること、を明らかにした。このように、動物実験レベルでは肺再生医学の可能性を証明してきたが、肺実質へどのように再生因子を誘導するかなどの問題から、いまだ臨床応用には至っていない。当院内分泌代謝内科が同定した脂肪細胞特異的発現蛋白であるアディポネクチンが心筋再生機能を有し、また呼吸器内科がCOPD の病因にアディポネクチン発現の低下が関連することを報告した。今後、アディポネクチンなどの新規肺胞再生因子の候補を探索し、効率的な投与法を検証することを目的として、COPD肺を対象とした肺再生医学にチャレンジすべくアディポネクチンによる肺再生研究を企画した。現在、COPDモデルマウス実験を通して、アディポネクチンの安全な投与・補充法、投与効果を解析中である。また同時に、われわれ肺移植実施施設として診療にあたる重症呼吸不全患者の血清や手術で得られた生
体材料におけるアディポネクチン発現を解析し、学会発表・論文発表をおこなっていく方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

①HGF、アディポネクチンを用いて肺胞再生に適した条件を検討し、②脂肪組織由来幹細胞を用いて肺胞再生因子産生細胞シートを作成する。③さらに動物モデルにおける肺胞再生因子産生シートの局所貼付の治療効果を動物モデルで検証して、新たな肺再生法を提唱することを目的に研究をすすめてきた。
肺胞再生因子産生細胞シート作成に関しては、心臓外科と共同で開発し、実際にHGF、アディポネクチンを産生する細胞種の採取、分化誘導法を確立した。同シートを全身麻酔、人工呼吸下のマウスを開胸し、COPD誘導マウスやアディポネクチン・ノックアウトマウスの気腫肺に貼付した。呼吸機能、ガス交換能はアディポネクチンシート貼付群と対象群で差を認めなかった。パラクライン効果だけでは、同モデルで効果を発揮することは困難と考え、アディポネクチン全身投与モデル(遺伝子導入による過剰発現)を考案中である。また、現在ヒト検体で、COPD肺実質や難病である原発性肺高血圧症での血管内皮におけるアディポネクチンの発現やアディポネクチンレセプター(Tカドヘリン)の発現を探索しており、正常肺に比して高発現しておりその役割を検討していく。

今後の研究の推進方策

今後、COPDマウスの検体数を増加させ、動物イメージング装置によって、CTによる肺評価、肺血流をシンチグラムによって測定、細胞シートの効果を検証する予定である。
さらに、当研究室と共同研究者らが保有する世界最新鋭のイメージングシステム(動物専用Micro-CT、超偏極129Xe-MRI、in vivo蛍光・定量トモグラフィ、Two-photon Microscopy)を駆使して(マルティモダリティー法)、ミクロとマクロのレベルでリアルタイムに検証する全く新しいCOPD評価法を構築する。また肺再生モデルとして、片肺全摘モデルを作成しており、アディポネクチン補充による対側肺の再生の評価を行っていく。同様に、間質性肺炎や原発性肺高血圧症の動物モデルにおいての、アディポネクチンシート貼付の効果を検討していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Sustained-release delivery of prostacyclin analogue (ONO-1301) enhances lung regeneration after pnuemonectomy in mice2014

    • 著者名/発表者名
      Soichiro Funaki
    • 学会等名
      American Thoracic Society 2014
    • 発表場所
      サンディエゴ(アメリカ合衆国)
    • 年月日
      20140517-20140521

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi