研究分担者 |
西 宏之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00529208)
吉川 泰司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40570594)
宮川 繁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70544237)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
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研究概要 |
本研究は、心不全患者の心臓組織の臨床検体を用いてmicroRNAの発現を含めて心臓組織を網羅的に解析し、臨床経過との相関を検討することにより、心不全の発症機序に関わる特異的microRNAを見出すとともに、心不全の核酸バイオマーカーを探索することを目的とした。 まず、心不全に至る重要な疾患である慢性心房細動患者の心房組織を採取し、microRNAを抽出するとともに、病理組織学的な検討を加えた。心房細動患者においては、miRNA-21, miRNA-23b, miRNA-199b, and miRNA-208bが特異的に高発現しており、特に心臓組織中のmiRNA-21は心臓組織の線維化と正の相関を示し、血中のmiRNA-21と負の相関を示したことから、miRNA-21が慢性心房細動の発症や進行に関与してしていることが考えられ、それに加えて、miRNA-21が核酸バイオマーカーになり得ることが考えられた。この成果を原著論文として学術誌に投稿し、既に公表されている。 さらに、人工心臓装着術及び心臓移植の際に採取した重症不全心の左心室心筋(n=15)よりRNAを抽出し、同一個体における人工心臓装着術および心臓移植術時の心筋のmicroRNA発現をMicroRNA arrayを用いて網羅的に解析した。結果、人工心臓補助中に発現が顕著に変化したmicroRNAを12種(miR-1, 10b, 15a, 15b, 21, 23a, 24, 29b, 199a, 199b, 208a, 208b)見出したため、これをReal-time PCRにて定量的に解析し確認した。これらの心臓組織の線維化率や微小血管数などとの相関を解析し、microRNAが人工心臓補助中の心臓組織の変化に関わりのあることを見出した。現在臨床経過との相関を統計学的に検証中であり、これをもって専門学術誌に投稿する予定である。
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