脳死状態では、不安定な循環・代謝状態、炎症の活性化など様々な変化が起こる。ドナー拡大および移植成績の更なる向上を目指すドナー臓器保護戦略として、障害部位に集積する走化性を持ち、局所の炎症や免疫反応を抑制作用を持つ間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)に着目し、脳死ドナーへのMSC投与効果を評価する前臨床研究を開始した。その結果、ミニブタ脳死肺移植モデルの確立と特徴を評価し(脳死肺内での炎症亢進とそれに伴う拒絶反応促進)、2)ミニブタMSCの樹立(脂肪・骨髄組織)をはかり、MSCのドナー投与による移植肺虚血再灌流障害抑制と生着延長効果の評価へとつながる結果を得た。
|