研究課題/領域番号 |
24659641
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
高見沢 計一 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (10163312)
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研究分担者 |
中山 泰秀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50250262)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 組織工学 / 再生医療 / 大動脈弁 / 自己組織 |
研究概要 |
① 生体の皮下組織内に高分子製の鋳型を1ヶ月程留置することで、自己組織からなる移植用組織体が自動的に得られる画期的な再生医療技術(生体内組織形成術)を利用した「肺動脈弁」の作製技術を踏まえて、臨床ニーズの高い「大動脈弁」の開発に発展させる。 ② 耐圧性と耐久性を獲得するための鋳型の最適設計と抗血栓性設計を行い、移植実験によって自己組織化する再生能力を調べ、大動脈弁として臨床応用の可能性を追求する。 研究1)「生体内組織形成術」で作製する大動脈弁様組織体の生体外力学的評価:3D CADソフト(Rhinoceros)を用いて設計し、3Dプリンタ(Projet HD3000)を用いて大動脈弁様組織体の作製用鋳型を作製した。鋳型内にはLED照射装置と電池を内蔵させ、体内において光照射できるようにした。鋳型を用いてヤギ皮下で大動脈弁様組織体を作製した。シリンジポンプと連動させた特注の水圧連続負荷内圧測定装置を用いて、破裂時の内圧値を計測し、生体動脈と同等の耐圧性を有することが分かった。市販の引っ張り試験機(RE2-33005B)を用いて、連続計測する歪みと応力の関係から弾性率を求め、生体動脈以上の強度を有することが分かった。国立循環器病研究センターが開発した補助人工心臓機能評価用の拍動流試験回路を導入して、加速試験を行い、37℃の恒温槽内で、生理食塩水を流体として用いると、10日間の機能維持を認め、耐久性に優れていることが分かった。 研究2)作製する大動脈弁様組織体の抗血栓性の評価:血液凝固実験にはビーグル犬の新鮮血中に大動脈弁様組織体を浸漬させ、37℃に保つと、表面で血液凝固が起こったが、開発した水溶性アルガトロバンのコーティングによって、血液凝固を完全に押さえることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要課題に関しては、計画通りの研究進行によってほぼ目的を達成し、現在投稿中を含め、多数の英文学術雑誌に発表することができ、さらに多数の特許申請に繋がったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は昨年度に引き続き当初の計画通り順調に進行しており、大きな問題点はなく、研究計画の変更は必要ない。最終年度では研究計画に従って、完成させた大動脈弁様組織体を用いて、ヤギなどに移植を行い、生体内での機能性、ならびに再生能力を評価していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の会計締切までの納品が遅れたため、年度内に会計処理をすることができずに余剰が生じた。次年度にて処理を行う予定である。 また、当初の計画通りに次年度には、大動脈弁様組織体を作製するための、鋳型の材料代などの消耗品費や移植実験用の動物購入飼育費が主となる計画である。また、研究成果の発表のための学会出張費などの旅費や実験補助員への謝金も見込んでいる。
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