研究課題/領域番号 |
24659644
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坪井 康次 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90188615)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / 放射線 / 腫瘍免疫 / ERストレス / Celecoxib |
研究概要 |
1)マウス脳腫瘍及び皮下腫瘍モデルの作成:まず、マウスglioma細胞GL261へkusabira-orange蛍光発現プラスミッドを導入し、長期間継代後も安定して蛍光を発するクローン(GL261-OR)を樹立した。次に同系C57BL/6マウスの大腿皮下と頭蓋内に作製したGL261-ORを移植した。頭蓋内への移植には専用のマウス脳定位的移植装置を用いた。次に移植腫瘍の蛍光量を蛍光検出装置(IVIS)を用いて体外から測定し、腫瘍の増殖をIVISでモニター出来ることを確認した。さらに蛍光量と摘出した実際の腫瘍の体積が相関することを確認した。 2)Celecoxibによる放射線増感効果と小胞体ストレス誘導作用:まず、In vitroにおいて、培養GL261細胞に対してCelecoxibを濃度を変化させて作用させ、COX-2の発現抑制、ERストレス関連蛋白の発現を検討した。また、腫瘍の増殖抑制効果、ガンマ線の増感効果を検討した。その結果、GL261に対するCelecoxibのLD50は30μMであり、この濃度ではCOX-2の発現抑制は認められず、ERストレスを誘導していることが明らかとなった。また、同じ濃度のCelecoxibはGL261細胞の増殖を抑制し、コロニー生存アッセイでもガンマ線に対するGL261の感受性を増幅することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス脳腫瘍モデルが完成し、しかも頭蓋内の腫瘍サイズを体外から定量的にモニターできる方法が樹立された。また、in vitroにおけるCelecoxibの脳腫瘍細胞に及ぼす効果を明らかにすることが出来た。特に、Celecoxibによるマウス悪性脳腫瘍細胞に対する増殖抑制効果、放射線増感効果とともに、ERストレス誘導作用を証明し、その内容はNeuro-Oncology (IF:5.7)誌に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
完成したマウス脳腫瘍モデルを用いて、まずCelecoxibを投与し、その増感効果を利用してエックス線照射で腫瘍細胞を殺傷するとともに腫瘍微小環境における免疫抑制状態を解除する。その後再度Celecoxibを投与して小胞体ストレスを与えることにより、残存腫瘍細胞からの「eat me signal」を引き出し、腫瘍特異的免疫賦活効果が得られるか否かを明らかにする。さらにブースターとして自家腫瘍ワクチンを投与し、治癒効果の促進効果(アブスコパル効果)が得られるかどうかを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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